ソフトバンクの孫正義社長が日々の仕事で、パソコンを使わなくなったらしい。iPhoneとiPadだけで、99.9%の仕事をこなしていて、日常生活においても使わないのだそうだ。
ところが、iPadの登場でデスクトップ型のパソコンを使って仕事をする機会が減ったのは孫社長に限ったことではないようで、手のひらの上で仕事をこなしている人が急増している。
閲覧や承認、短い文章の作成はiPadで十分
タブレット型コンピューターの「iPad」(Wi-Fi版)が発売されて、まだ3か月ほどだというのに、早くも人々の仕事や日常生活に変化をもたらしている。「デスクトップ型のパソコンを開く機会が減った」という人は少なくないし、ノートパソコンですら重たくなって、持ち歩くのをやめたビジネスパーソンも少なくない。
なにしろiPadは手のひらサイズだから、携帯するにも便利だし、WEBの検索・閲覧などはパソコンとあまり変わらない。
それにしても、孫社長は本当に99.9%の仕事をパソコンなしでこなしているのだろうか――。ソフトバンクに聞くと、「まったく使っていないということはないのでしょうが、ほとんど使わなくなっているのは本当です」と、パソコンを使わなくなってきたことは間違いないようだ。
ソフトバンクの社内では、社員は業務用にiPhoneを使っているが、孫社長はiPhoneとiPadの使用をとくに奨励していることはなく、iPadの利用はまちまち。「人によってはパソコンを使う機会が減ったという人がいるかもしれませんが、まったく使わないということはないですね」と、広報部は話す。
iPadは、少々入力しづらいこともあって、調べものや資料づくり、長文を書くには適さないが、閲覧やメール程度の短文を書くくらいであれば簡単にできる。パソコンだと立ち上げるだけでも時間がかかるので、社長や管理職が確認や承認のための作業などで使う分には、仕事上でも問題ないのかもしれない。
通信費下がれば、「パソコン離れはもっと広がる」
比較サイトのカカクコムが2010年9月2日に発表した「iPad購入状況調査」によると、ユーザー回答者1万850人のうち、すでに15%の人がiPadを所有しているという。その人たちに利用場所についてきたところ、66.4%が「家にいるとき」で、次いで「仕事をしているとき」(11.6%)、「通勤・通学などの移動中」(8.9%)だった。
フリーアンサーのコメントからは、ノートパソコンの代わりとして利用している人が多いことがわかったほか、「iPadを使い始めてからノートパソコンをあまり使わなくなった」と答えた人も少なくなかった。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「わたしの知っている人でもiPhoneとiPadだけで仕事をこなす人はいます。IT会社の営業マンやテレビ局のプロデューサーなどで、実際にパソコンを使わなくなっている人は増えています」という。
さらに、「通信費が下がり、電池の寿命が長時間持つようになれば、パソコン離れはもっと広がっていくでしょう」と話している。