「静か過ぎる」ことが問題になっていたハイブリッド車(HV車)や電気自動車(EV車)に擬似エンジン音を搭載したクルマが登場する。トヨタ自動車が「プリウス」に「車両接近通報装置」を取り付けられるようにしたほか、2010年秋に発売される三菱自動車の「アイ・ミーヴ」や日産自動車の「HVフーガ」には標準装備される。
走行音があまりに静かなので、近づいて来ても歩行者が気づかず、事故が心配されていたHV車、EV車だが、擬似エンジン音を鳴らすことで車両の接近を知らせ、事故防止に役立てる、というわけだ。
トヨタは「モーター音」にこだわる
トヨタ自動車の「車両接近通報装置」は、発進から時速約25キロまでのスピードで走行すると、自動的に「ジィー」といった擬似モーター音を、車両のフロント部分から出す。同社広報部は「ブォーンといったエンジン音とは明らかに違う音です」と説明。音量は55デシベルで、エアコンの室外機程度。近未来的なプリウスのイメージを大切にするため、モーター音にこだわったという。
また、夜間走行時などに音を出さないようにするため、「ON/OFF」の切り替えがドライバーの手元でできるようにした。
トヨタでは、「静音が原因で事故が起こったことはないが、(事故が起きる前に)早急に対応する必要があると考え開発していた」と話している。
ただ今後、標準装備するかどうかは、「現段階ではお答えできません」という。
擬似エンジン音を出す装置は、自動車メーカーとしてはトヨタが初めての発売となるが、じつはカー用品のオートバックスセブンでは2010年6月から販売している。ミツバサンコーワ製の「SK-003」や、G-TECH製「ドライブアラームDA-1300」などがそれで、「他にも、いろいろと発売されている」(オートバックスセブン)という。
擬似エンジン音を出す装置の取り付けは、義務ではないこともあって、同社は「まだ、そんなには多く売れていません。ただ、事故を心配するドライバーは少なくないですから、これからはそういった方が購入すると思います」と話している。