ミクシィで反社会的行為を告白して「炎上」が相次いだのは2006年~07年のことだが、同じ傾向が2010年になってツイッターにも現れ出した。早稲田大学の学生を名乗るツイッター利用者が、同大文学学術院教授でもある批評家・作家の東浩紀さんの試験について「テスト中に、隣の人が答案見せてくれた」などとツイートしたのだ。
東さんは「これ、カンニングだよね」と指摘したが、ネット上には、カンニングそのものを擁護したり、カンニングの事実を公然と指摘することに批判的な声も出て、騒ぎが広がっている。しかし、東さんはこれを一喝している。
「隣の人が答案見せてくれたのに申し訳ないなー」
問題とされているツイートは、2010年9月3日未明に書き込まれた
「やっぱ、東浩紀の講義落としてました。どうしても、僕アニメとかに興味もてないんだよなー。テスト中に、隣の人が答案見せてくれたのに申し訳ないなー。大体、らき☆すたて何すか。ラキストじゃないんすか」
というもの。東浩紀さんを名指しして、事実上カンニングを告白するというものだ。この利用者は、「早稲田大学文学部哲学2年」と名乗っている。10年学期の文学部の期末試験時間割を確認する限りでは、東さんが試験を行ったのは、7月15日の「ウェブ文学論」。「持ち込みは全て許可」だとされている。
東さんのツイートによると、自分の名前を検索エンジンで検索していたところ、偶然にも問題のツイートが上位にヒット。「カンニング告白」がふれることになった。東さんは深夜2時間半過ぎ、問題の書き込みをリツイート(RT、引用)する形で
「これ、カンニングだよね。これツイートするって、きみなに考えてるの?」
とツイート。問題の学生はこれに気付いたらしく、ツイッターの自己紹介欄から自分の名前と所属を削除、問題のツイートも削除し、事実上「ダンマリ」を決め込んだ。
東さんのアカウントのフォロワー(読者)は約4万人いるため、この「カンニング告白」が、広くネット上で知られるようになった。
東さんのツイートに対して、一部の利用者からは、
「カンニングというより知り合い同士の馴れ合いかと」
「学生晒してどうするんですか」
などとカンニングを正当化したり、RTでカンニングの事実を公然と批判することに対して疑問を呈する声も出たが、東さんは
「いちいちRTしないが、カンニングを告白したごときで騒ぐな、という学生からのツイートが複数来ている。そういうひとは、本気で認識を改めたほうがいい」
「本人が最初からツイッターという公開の場に、しかも僕の見つかるように書いたんだ。RTされるのは当然でしょう。甘えないで欲しい」
「カンニングは悪いことだと思います、でもぼくたち無名なんで許してください!か。アホなんじゃない?」
と一蹴している。
自己紹介欄に名前も堂々と書いてあった
同大の学則第46条によると、学生の処分には「譴責、停学、退学」の3種類があるとされ、学内には、
「以下に示すような不正行為に対しては、学生の本分に反するものとして、学部内規に基づき停学を原則とする厳正な処分を行う」
との掲示がある。カンニングに対する処分は「停学が原則」ということのようだ。
なお、掲示の中では、「不正行為」として、「カンニング・ペーパーの持込み、およびその利用」「他人の答案を筆写すること」「他人に答案を筆写させること」など13項目が列挙されている。
早稲田大学広報課では、
「原則として、個人情報との関係もあるので、学生の在籍確認には応じていない。個別の試験における不正行為に対する対応についてはお答えしていない」
と、事実関係の確認に応じていない。
東さんは
「うーん、ぼくはログ取ったし所属名前も確認したので(というかbio(編注: 自己紹介欄)に堂々と書いてあったので)、これで(編注: 問題のツイートを削除したことで)逃げれるわけではないんじゃないかなあ」
ともツイートしている。
問題のツイートには、
「大体、らき☆すたて何すか」
とある一方、東さんは
「回答『らき☆すた』が波紋を呼んでいるようだけど、結構まともな問題よ」
ともツイート。このやりとりからすると、問題のツイートをした人物が実際に試験を受けていた可能性は高く、何らかの処分につながる可能性もありそうだ。