「理系は文系より年収高い」は常識? 就職や転職の際にも有利だ

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   京都大学や同志社大学などの調査で、理系学部出身者の方が文系学部出身者よりも100万円近く年収が高いという結果が出た。理系の方が就職や転職の際に有利だと見られており、「就職を考えると理系の方がお勧め」とまでいう専門家もいる。

   2010年8月24日、京大経済研究所の西村和彦・特任教授らが「理系学部出身者と文系学部出身者の平均年収の比較調査」結果を発表した。

60歳で170万円の年収差

   調査は08年6月にネット上で実施。20代から60代まで1632人の回答を分析した。文系学部出身者の平均年収が583万円だったのに対し、理系学部出身者は681万円。理系の方が文系より100万円近く高いという結果が出た。

   年齢別でみると25歳では文系(306万円)と理系(366万円)はまだ60万円しか開きはないが、年齢が上がるにつれ差が拡大。45歳で100万円以上の差、60歳では文系720万円で理系が889万円と約170万円もの開きがある。

   西村教授はJ-CASTニュースに対し、「理系は専門知識を持っている分、つぶしが効く。転職のときも給与が下がりにくいといったことが影響しているのでは」と話す。

   同様の結果は他の調査からも出ている。人材サービスサイト「キャリコネ」(運営・グローバルウェイ)が09年に約2000名の登録者を対象に行った調査でも、平均年収で理系学部出身者(639万円)が文系学部出身者(551万円)を上回った。学部別でみると最も高いのが工学部(661万円)で、その次が理学部(616万円)、法学部(615万円)。一番低いのが文学部で409万円だった。

終身雇用や年功序列などの安定した椅子が残っている

   『若者はなぜ3年で辞めるのか? 』などの著書がある人事コンサルタント・城繁幸さんも、「理系の方が年収高いというのは全くその通り」と語る。

   城さんによると「理系の方が労働市場で競争力が高い」。日本を代表する企業と言えばトヨタやソニーといった製造業が中心となる。そうした企業には終身雇用や年功序列などの安定した椅子が残っていることが多いが、就職するには圧倒的に理系の方が有利だという

「2000年前後の就職氷河期では、早慶や東大の文系学生が全然就職できないのに、地方から教授の推薦状を持って出てきた『何とか工業大学』の学生が2~3日でソニーとかに内定を貰っていました。特に国立大学が強いですね」

   例えば、2000年前後に早稲田の政治経済学部を卒業した人の場合。大手企業から内定を貰えずにベンチャー企業に就職した人の30歳現在の年収は「300~400万円」。一方、地方の国立工業大学を出て、ソニーやシャープに就職した人は30歳で約700万円。部品メーカーでも600万円ほどの年収になるという。

「理系は『技術』という形で企業が欲しがるものを持っているわけです。文系の学生は、自分でしっかり考えないといけないということでしょうね」

   城さんは8月25日のブログでも同様のことを指摘。企業が採用人数を減らす際は、営業・管理部門から減らしていくこと、また、理系出身の営業や事務はいるが、その逆はありえないといった理由をあげ、「手に技術の付く理系の方が就職を考えるとおススメである」とまで書いている。

理系優位説に異を唱える人も

   京大の調査結果はネット上でも話題になり、2ちゃんねるやツイッターには「理系は管理職になれなくても、駅弁大学で600近く保証っぽいね」と納得するものや、「男の方が年収高いから、男女混ぜると男が多い理系の方が高めになる」といった見方が寄せられた。

   理系優位説に異を唱える人もいる。ジャーナリストの団藤保晴さんはオピニオンサイト「BLOGOS」に「『理系が文系より高給』京大さん、それは無茶」(8月25日付け)という反論記事を投稿している。

   人事院の09年民間給与実態調査では、「事務課長」「支店長」などの文系職種の方が「技術課長」などの理系職種よりも全般的に給与が高い。これが京大の調査結果と相容れないとし、「きちんとした公的な調査があるのにインターネット調査に頼るのは無茶、無謀」と主張している。しかしコメント欄には「理系出身の支店長だっているし、全然比較になってない」といった指摘も書き込まれている。

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