ホームページへの大量アクセス事件 岡崎市立中央図書館の弁明に異論相次ぐ

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   ホームページへの大量アクセス事件について、愛知県の岡崎市立中央図書館が初めて弁明した内容に、異論が相次いでいる。図書館ソフトの不具合が指摘されているのに対し、大量アクセスが悪いとの弁明に終始しているからだ。真相はどうなのか。

   きっかけは、愛知県在住の男性(39)が岡崎市立中央図書館の新着図書データベースに大量アクセスをして利用者に閲覧できなくしたとして、岡崎署に偽計業務妨害の疑いで2010年5月25日に逮捕されたことだ。

「利用者自らが配慮すべき」

図書館側は初めて見解を明かした
図書館側は初めて見解を明かした

   報道によると、男性は3~4月、自作プログラムを使って、新着図書のリストに自動的にアクセスして、それをコピペすることを14日間3万3000回繰り返していた。これがサイバー攻撃とみなされたわけで、名古屋地検岡崎支部が6月、男性を起訴猶予処分にしていた。

   ところが、男性がアクセスしたのは、1秒間に1回程度だったため、ソフトに詳しいネットユーザーらを中心に、男性逮捕への疑問が相次いだ。朝日新聞も、8月21日付サイト記事で、図書館ソフトを複数の専門家に解析してもらい、そもそもソフトに不具合があったのが原因と断じた。

   ソフトは、データを呼び出すたびに電算処理が継続中となり、電話の受話器を上げたままのような状態になっていたという。このため、アクセスによって、サイバー攻撃を受けたように見えたというのだ。専門家が見たところ、男性のプログラムは、同時に数万回のアクセスを行う攻撃仕様になっておらず、違法性がなかったともいう。

   これに対し、中央図書館はホームページ上で9月1日、公式見解を初めて明らかにした。

   それによると、男性のケースは、本の検索や予約といった一般利用ではなく、図書館側も対応に苦慮していた。ソフトを05年に導入したときは、大量アクセスは想定しておらず、10年7月に事件を受けて初めて改善した。そして、図書館では、利用者自らが他の利用者に迷惑をかけないよう配慮すべきだとしている。

「図書館の対応には、問題はない」

   岡崎市立中央図書館の見解は、自己弁護が目立つが、ソフトに不具合があったことはないのか。

   朝日の記事によると、ソフトを提供した三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)は、不具合を見つけて、2006年に新ソフトを作っていた。しかし、中央図書館には、不具合のことなどは何も伝えていなかったというのだ。

   中央図書館の総務班では、取材に対し、「ソフトの不具合については、認識していません」とその存在を全否定した。

   男性のアクセスが「一般利用」に当たることも否定して、こう述べた。

「通常の利用ではないから、ああいう事態が起こったということです。うちとしては、通常の利用しか想定していません」

   MDISの新ソフトについては、次のように言う。

「メーカーに聞かないと分かりませんが、うちのソフトに不具合があったとは聞いていません。メーカーは、ちゃんと対応したと思っています」

   なぜもっと早く大量アクセスに対応できるよう、図書館自身が対応しなかったのか。この疑問に対しては、「うちは図書館でありシステム会社ではないので、専門的なことはわかりません。大量アクセスについては、メーカーで対応してもらっています。図書館の対応には、問題はないと思っています」と話した。

   MDISの広報担当者も、ソフトについて、「不具合が見つかったとは言っていませんし、そう認識もしていません」と言う。ソフトの改善をなぜもっと早くしなかったのかについては、「お客さまに収めたシステムの問題ですので、お答えできる立場にはありません。事実関係は、図書館の公式見解に出ている通りです」と繰り返した。

   朝日の記事は、警察がソフトの不具合を把握していなかったなどと指摘しているが、愛知県警では、「図書館の業務に支障が出たことは事実で、捜査に問題はない」とのコメントを返している。

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