「客数を増やすに最も有効なのは低価格」
9月2日午前に東京・赤羽の吉野家本社で行われた発表会では、安部修仁社長も
「2010年に入って厳しい状況が続いている。競合他社の低価格が大きな影響があったことは認めるところ。お客様から『吉野家はどこに行くんだ』との声があることも認識している」
と反省の弁。そんな吉野家が「戦略新製品」と位置づけて9月7日から投入するのが、「牛鍋丼」。1899年の吉野家創業時に販売していた、牛肉を豆腐や野菜と一緒に煮込んだ牛鍋の具を、丼に入れたご飯にかける「牛鍋ぶっかけ」の「復刻版」だ。使用する肉は9割が米国産でオースラリア産1割と、従来通り米国産へのこだわりを見せた。「客数を増やすのに最も有効なのは低価格」(安部社長)だとして、価格は並盛で280円、大盛で380円と、牛丼よりも100円安く設定。一方で、牛丼の値下げについては、「利益率が下がる」(同)として、否定的だ。
安部社長によると、10年5月に6店舗で試験販売した際は、客数で22~23%、売上で12%伸びたといい、「牛鍋丼」が業績をけん引することを期待している様子。さらに、10月7日には、「キムチクッパ」を並盛280円で投入。低価格メニューを充実させる。
9月1日に発表されたばかりのすき家と松屋の既存店ベースの8月売上高を見ると、すき家は前年同月比32.3%増で、松屋は同8.0%増。相変わらず好調だ。吉野家の8月の実績が発表されるのは9月8日だが、今後「ひとり負け」から脱却できるか注目されそうだ。