日本テレビが、労組側に事実上の定期昇給廃止となる新賃金制度を示して、業界に激震が走っている。労組側はこれに反発してストに入ったが、関係者は、テレビ各局に今後賃下げが広がる可能性を明かしている。
「仕事が普通の評価なら、昇給がストップすると聞いています」
民放労連「日テレ給与水準は、2~3割減る」
全労連系の民放労連の本部では、日本テレビが2010年3月に労働組合に示した衝撃的な賃金制度の内容をこう明かす。
それによると、この制度では、昇給ペースを抑制し、残業単価を切り下げており、局側は、7月の導入を目指していた。
「仕事で高い評価を取らないと、社員は昇給しないということです。それは、トップのほんの数%だけになります。いわば定昇廃止に近いものですよ。給料は据え置かれ、残業代は下げられてしまう。だから、給与水準は、2~3割減ることになると思います」
民放キー局でも、このテレビ不況で、ボーナスの大幅カットは普通に行われている。TBSでは、赤字転落に備えて、09年3月に2~3割カット案が提示され、労組が全面ストに突入したことがある。大阪のテレビ局でも同時期に、同様なボーナスカット提示が行われた。
ところが、民放労連本部では、「今回の措置は、賃金制度そのものを根本から変える提案」だと言う。今のところ、ほかのキー局でこうした動きはないものの、今後、各局に波及する可能性があるというのだ。
日テレ側は、新賃金制度の導入について、広告不況やメディア多様化で、民放がどんどん厳しくなるという理由を挙げた。同局の氏家齊一郎会長も、折に触れて、民放5系列のうち生き残れるのは2つ、3つだけだと述べている。