民主党の小沢一郎前幹事長が、代表選への立候補を改めて表明した。前夜から「立候補見送りか」との見方が急浮上していたが、結局、菅直人首相と小沢氏との真っ向対決の構図に落ち着いた。
「熟慮した結果、代表選へ出馬する決意をしたところでございます」。2010年8月31日夕、菅首相との会談直後、小沢氏は改めて代表選への立候補を表明した。
「分裂」とりあえず否定
前日の30日夜、菅首相と鳩山由紀夫前首相が会談し、直後に2人がそろって「トロイカ(3頭立て馬車)体制」「挙党態勢」を大切にするとテレビカメラを前にして語った。これを受け、31日付朝刊(東京最終版)は、「小沢氏 不出馬強まる」(毎日)、「小沢氏 代表選不出馬も」(読売)などと報じていた。
小沢氏によると、31日の菅首相との会談では、代表選後も「力を合わせて」いくことを確認したという。両者の激突によるしこりから代表選後に党が分裂するのでは、との懸念が急速に広まっており、これをとりあえず打ち消した形だ。
もっとも、「挙党態勢」の名のもとに、小沢氏側が立候補見送りの代償としてポストを要求したが、「密室談合」批判を避けたい菅首相側と決裂したのでは、との見方もある。いずれにしても、30日夜の菅・鳩山両氏の「トロイカ体制」連呼は何だったのか、すっきりしない印象を与える結果となった。
「政治とカネ」問題どこへ
小沢氏の立候補については、歓迎の声も出ていた。民主党出身の西岡武夫参院議長は30日、日本記者クラブでの講演で「(小沢氏は)常に注目を集めているが、もうけりをつけないと日本の政治のために良くない。これで出なかったら小沢一郎ではない」などと語っていた。
一方、「政治とカネ」の問題を理由に約3か月前、鳩山前首相とともに幹事長職を引いた小沢氏の「復帰」には批判もある。鳩山氏は10年6月2日の退陣表明の際、「政治とカネ」問題を理由に小沢氏にも辞任を求めたとして「『そのことによって、新しい民主党、よりクリーンな民主党を作り上げることができる』と(小沢氏に)申し上げた。(小沢氏も)『分かった』と…」と明かしていた。こうした経緯を踏まえ、小沢氏が代表選立候補を最初に表明した8月26日の翌日には、朝日新聞が朝刊社説で「あいた口がふさがらない」などと評していた。
「代表選はすでに(小沢氏)圧勝の勢い」(週刊ポスト、9月10日号)などの指摘がある一方、「首相(党代表)にふさわしいのは菅氏78%、小沢氏17%」(毎日新聞、8月30日付)という世論調査結果もある。
今後、激しい票の奪い合いの中で、どれだけ政策論争が進むかが課題となりそうだ。代表選は9月1日に告示され、投開票は14日だ。