日本銀行は2010年8月30日に開いた臨時の金融政策会合で、急激な「円高」に伴う緊急的な金融緩和策として、09年12月に導入した、政策金利と同じ0.1%の固定金利で資金を供給する「新型オペ」の総額を従来の20兆円から30兆円に拡充することを決めた。資金を増やして市場へ行き渡らせることで市場金利を低下させ、円を売りやすい環境を整える。
資金供給は、従来の期間3か月の資金供給規模の20兆円を維持したうえで、新たに、追加的に「10兆円程度の期間6か月」の資金供給を開始する。期間を長めにすることで、長めの金利を引き下げると同時に、しばらく金利を上げないという市場へのアナウンス効果を狙った。
ただ、市場では「20兆円→30兆円」の拡充は、追加策の「想定の範囲内」との見方が支配的で、インパクトに欠けた。「もう一段の追加緩和策に備えた」との見方もある。
第一生命経済研究所の嶌峰義清・主席エコノミストは、「後手に回ったうえに(追加策が)予想の範囲内にとどまったことで、株価は上昇幅が縮小、為替も85円割れの円高水準のままとなっている。これは、明らかに『失望』という感じ」と話している。
なお、会合では須田美矢子審議委員が追加策に反対した。
政策金利は全員一致で、「無担保コールレート(翌日物)を0.1%前後で推移するように促す」ことに据え置いた。