作業ミス続出に「落下事故」 「もんじゅ」運転再開できるか

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   14年5か月ぶりに運転を再開した高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)をめぐるトラブルが止まらない。「もんじゅ」をめぐっては、運転再開直後から、警報機の誤作動や、手順書の不備による制御棒の作業ミスが続出。今度は、燃料交換に使う装置をつり上げる途中、つり上げ機器の不具合で、装置が原子炉容器内に落下した。

   現在は、細い穴からファイバースコープを通して状況を確認している段階で、原子炉の安全を確認して本格復旧するまで、長期化は必至の様相だ、

「炉内中継装置」が原子炉容器内に落下

   「もんじゅ」は、ナトリウム漏れ事故が原因で14年以上にわたって運転を停止していたが、2010年5月に運転を再開。その直後から、トラブルが続出している。運転再開初日には、放射性物質検知器が誤作動して警報を出した。

   また、運転再開4日目には、原子炉の出力を下げるための制御棒の操作でミスが発生。本来はボタンを「長押し」する手順だったのだが、作業員がこの手順を把握しておらず、作業が一時中断するという事態を招いた。作業手順書から、制御棒についての挙動についての記述が抜け落ちていたのが、その原因だ。

   今回トラブルが起きたのは、核燃料を交換する作業をめぐってだ。「もんじゅ」を管理する日本原子力開発機構の発表によると、8月11日から17日にかけて、原子炉内の核燃料の一部を新品に交換した。8月18日、交換作業に使った「炉内中継装置」(ステンレス製、長さ12メートル、直径55センチ、重さ3.3トン)を撤去しようと、原子炉容器内でつり上げる作業をしていたところ、2メートルつり上げた時点で重量表示がゼロになり、衝撃音が発生。容器内を目視することはできないものの、中継装置が原子炉容器内に落下したのは確実だ。

   さらに、機構が地元自治体にトラブルを報告したのも遅かった。本来なら発生から30分程度で報告できるのに、実際に報告が行われたのは発生からおよそ1時間半後。8月27日には、就任したばかりの鈴木篤之理事長が、福井県庁と敦賀市役所に謝罪に出向くことになった。

復旧作業が長期化するのは必至

   機構が容器内にファイバースコープなどを挿入して調べたところ、装置をつり上げていた「グリッパ」と呼ばれる機器の2本のツメの開き方が不十分だったことが判明。ツメを開閉させる機器が、正しい状態から90度回転した状態で入っていたという。

   機構の敦賀本部の広報課の説明によると、原因については

「今はCCDカメラで確認している段階で、機器を取り外して調査を行う」

などと説明。まだ本格的な調査は行われていないのが現状だ。

   もんじゅは、2010年7月に、試験運転の第1段階を終了。11年5月以降に第2段階の試験運転が計画されており、それに向けて整備を進めていた矢先のトラブルだ。

   復旧のためには、まずは、少なくとも「異常が見つかったグリッパを引き上げる→原子炉容器内に落下した装置を引き上げる」といった手順を、原子炉に異常がないことを確かめながら進めることが必要だ。原因究明や、トラブルの影響評価も必須だ。機構側は

「順を追ってやっていく」

とのみ説明しており、今後のスケジュールすら見えないのが現状だ。復旧作業が長期化するのは必至で、試験運転に遅れが出る可能性もある。

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