全国の郵便局約1000の駐車場に急速充電装置を設置
これまで郵便事業会社は三菱自動車と富士重工業の軽タイプのEVを導入したが、「貨物車ベースでないため、荷物の収納スペースが狭く、使い勝手は今一つだった」(関係者)という。その点、ワンボックスのスバルサンバーのボディーをそのまま使ったゼロスポーツのEVは収納スペースが広く、職員らに好評だったという。
郵便事業会社は厳冬期の雪道や登坂路など様々な条件でEV集配車のテストを行っており、性能面の支障はないと判断した。郵便集配車は停止と発進を繰り返す過酷な使用条件となるため、ゼロスポーツは発進・停止性能と耐久性を高めたという。ネックになるのは価格の高さだが、ゼロスポーツは大手メーカーを下回る価格に抑えた。EVはガソリン車に比べ初期投資がかさむが、燃料費は安くなるため、郵便事業会社は採算がとれるとしている。
郵便集配車がEVになるメリットはインフラ面でも大きい。郵便事業会社はEV用の急速充電装置を全国の主な郵便局約1000カ所の駐車場に設置する方針で、一般の利用も検討している。全国の郵便局に充電装置が整備され、一般ユーザーも利用できれば、EV普及には追い風となる。
国内でEV普及に積極的なのは郵便事業会社のほか、東京電力、関西電力など電力10社。こちらは営業など業務用自動車の半数に当たる約1万台を20年度までにEVに置き換える方針。郵便集配車でEVが成功すれば、他分野でも普及が進む可能性がある。