民主党の代表選に、小沢一郎前幹事長が出馬の意向を表明したことに、2010年8月27日付の朝日新聞が痛烈な「小沢批判」を展開した。
読売新聞や毎日新聞などの他紙が比較的淡々と報じている中で、異常なほど「熱く」なっている。
「二人のこのありさまは、こっけいですらある」
8月27日付の朝日新聞の社説には、「小沢氏出馬へ あいた口がふさがらない」の見出しが躍っている。指摘しているのは「政治とカネ」の問題だ。幹事長を辞して3か月も経っていないうえ、いまだ国会で説明もせず、検察審査会での起訴相当の議決を受けて、2度目の議決を待っていることから、「けじめがついていない」というのだ。
小沢氏の出馬表明までの鳩山由紀夫前首相の言動を含め、「どうしてここまで民意とかけはなれたことができるのか」、「(小沢氏と鳩山氏の)二人のこのありさまは非常識を通り越して、こっけいですらある」とボルテージを上げている。
円高・株安で混乱している金融・経済情勢にあって、企業経営者をはじめ、「派閥争いをしている場合か」「代表選どころではないだろう」との声は多いし、たしかに「あいた口がふさがらない」と感じている国民は少なくないかもしれない。
さらには、小沢氏が党内の多数派工作に成功して「小沢首相」が誕生しても、1年で3人もの首相が代わる「政権のたらい回し」に、「自民党時代と、なにも変わっていない」と感じている人も多いはず。朝日新聞は「1年ほど前、新しい政治に期待して1票を投じた有権者の思いを踏みにじるにもほどがある」と激怒している。
冷静さ求める読売新聞
一方、産経新聞は2010年8月27日付の「主張」で、小沢氏の出馬について、「政治とカネ」の問題で信頼を失ったとして、「国の指導者に不適格だ」としている。
各紙とも、「政治とカネ」の問題を棚上げにしていいとは言ってはいない。ただ、朝日新聞ほど、辛らつでも激しくもない。
また、どこも「民主、権力闘争鮮明に」(毎日新聞)、「菅・小沢氏 全面対決」(朝日新聞)、「菅VS小沢 多数派工作」(読売新聞)と、今回の民主党代表選が政界再編へと向かうきっかけになるとの見方を強めている。
そうした中で、読売新聞の社説は「日本の針路を競う代表選に」と題し、「与党第1党の代表選は、首相選びに直結する。『親小沢』か、『脱小沢』かではなく、あるべき日本の針路を論じ合って雌雄を決してほしい」と、冷静さを保つよう求めている。