アグネス・チャンさん(55)の所属事務所が運営している商品サイトに、薬事法などに抵触する可能性のある表示があることが分かった。アグネスさん本人がデザインしたパワーストーンや輸入元が販売している健康食品の霊芝で、病気に効くことをうたっているからだ。アグネスさん側は、「誤解を与えるのは本意ではない」として、指摘のある表現を削除するとしている。
「オーナー アグネスより皆様へ」
パワーストーンなどが販売されているのは、こんな紹介がある楽天のショッピングサイト「チャンズ」だ。
霊芝でも「目を治し、肝臓の機能を補う」
そこでは、タレントのアグネス・チャンさんが顔写真付きで、ファンらの利用を呼びかけている。
風水を取り込んだという開運グッズのパワーストーンは、紹介コーナーで、色ごとなどに11種類のブレスレッドを写真付きで掲載。すべて3780円の商品で、「ピンクは恋愛運、病気緩和に効くそうです」「黄緑は健康運、仕事運、家庭運を呼び込む」などとうたってある。
また、健康食品コーナーでは、きのこの霊芝をエキスにしたもの60粒入りの商品を2万円弱で販売。中国の医薬書を引用して、「目を治し、肝臓の機能を補い、心を落ち着かせ、寛容な心のも持ち主にする」などと紹介したほか、肝機能にいい影響があったという利用者の体験談も載せた。12箱セット20万円弱のもある。
ネット上では、こうした商品販売について、「怪しい」などと批判する声が相次いでいる。
オカルト批判で知られる早大の大槻義彦名誉教授は、自らのブログで2010年8月25日、アグネス・チャンさん側の商法を批判した。読者から疑問を示すメールが来たといい、慈善活動や教育を隠れ蓑にしているとして、27日もブログで批判的に取り上げた。
「健康、恋愛にいいと言って売る商法をやるつもりはない」
大槻義彦名誉教授は、取材に対して、こう指摘する。
「パワーストーンとして病気の緩和や健康運などをうたうのは、これまでの霊感商法とまったく同じです。霊芝は、食用に適さず、摂取によっては副作用があると専門家が警告しています。2万円近くするというのは、すごく高価ですよ。極めて不適切な商売であり、教養もあるタレントがなぜこんなことをするのか、不思議ですね」
アグネスさん側の商品販売方法は、法的に問題がないのか。
厚労省の監視指導・麻薬対策課では、パワーストーンや霊芝で病気に効くとうたったことについて、薬事法に抵触するとの見方を示す。中国の医薬書を引用したりしても、同じことだという。健康運を呼び込むなどのうたい文句は、薬事法に引っかからなくてもありえない表示であり、景品表示法に抵触するとしている。
所属事務所トマス・アンド・アグネスの金子力代表は、取材に対し、パワーストーンについて、「健康、恋愛にいいと言って売る商法をやるつもりはまったくありません」と主張。その誤解を招くのは本意ではないとして、こうした表現を2010年8月27日中にも削除することを明らかにした。
また、霊芝についても、同様な理由から、27日中にも削除するとした。商品そのものは、医学者をしているアグネスさんの姉らが開発したもので、「変なものではありません」という。故郷の中国・香港では1万円ほどの商品を輸入したもので、決して高くはないとしている。
パワーストーンの記述や中国医薬書の引用は、ファンサービスの一環で、1つの情報として付けていたという。
こうした商品販売について、金子代表は、「たいして売れている商品ではありませんし、トラブルは一度もありません。アグネスは、カトリック信者ですので、オカルトには興味もなく、むしろ批判的です」と強調している。