高橋洋一の民主党ウォッチ
代表選小沢出馬と円高対策 「無策」民主は動くのか

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   2010年8月26日の今朝、民主党代表選でいよいよ小沢一郎前幹事長が出馬するといった。これで、代表選が盛り上がってくるだろう。日本の総理を決めるのだから、そうでなければいけない。小沢前幹事長といえば、政局ばかりが目につくが、8月25日、自らが主催する「小沢一郎政治塾」で、「当分は円高が続き、外需に頼りきりの経済は大きな打撃を受けるだろう。政治、経済は不透明、不安定になりつつある」と語っていることから、現下の円高株安デフレ対策が、民主党代表選の争点に浮上してきた。

   為替は政治と経済がダイナミックに交錯する場である。一国の通貨と他国の通貨の交換レートであるので、国の主権がぶつかる。と同時に、国の通貨に関わる経済原理がよく貫徹して、政策効果が理屈通りに反映することもよく見られる。現在先進国では変動相場制をとっており、表だって為替市場への介入は行われない。しかし、各国ともよく為替市場がどのように動くかという経済原理をよく理解し、ぎりぎり許容される国内対策として金融緩和し、為替市場で自国通貨を安くし輸出を後押して自国が有利になるように凌ぎをけずっている。もはやG7などでの協調行動を求めることはできないので、各国とも必死で動き回っているのだ。こうした状況において、日本はまったく無策である。この意味で、今回の円高は、政府・日銀の無作為が主犯である。

政治主導は「絵に描いた餅」

   それが、はっきりしたのは、今8月10日である。日銀は政策決定会合で何もしなかったが、米国FRB(連邦準備理事会)は事実上の金融緩和を打ち出した。そうなれば、円高になるのは見えている。その円高は株式市場を下げる。もともと米国での景気回復ペースが遅れているという話だったが、政府・日銀が無策なために、日本のほうが打撃が大きくなっている。8月10日の日経平均、NYダウ平均はそれぞれ9551.05円と1万644.25ドルだった。8月25日、日経平均は8845.39円と7.4%の低下だが、NYダウ平均は1万60.06ドル、5.5%低下と、日本の低下率のほうが大きい。

   今なすべき政策は、為替介入で時間を稼ぎ、量的緩和など本格的な金融緩和を行うことだ。ところが、菅直人政権は財務省も日銀も動かせない。この二つは日本最強の経済官僚組織だ。ただ、為替介入は野田佳彦財務相が官僚に指示すればいい。さらに抜本的な対策である金融緩和は、日銀に期限付きのデフレ脱却などの大目標を示すだけでできる。しかし、現実はできない。民主党の政治主導が絵に描いた餅であり、その政策担当能力はかなり疑問視されている。

   菅総理は財務省のいいなりだから、財務省には言えないのかもしれない。白川方明日銀総裁を選んだのは民主党だった。民主党は、日銀に適切な目標すら与えられず、白川総裁を当時の与野党ねじれの中で強引に後押した咎が今ブーメランで跳ね返ってきている。

姉妹サイト