宮古島は「路上寝」の多発地帯 市と警察「やめて」と緊急アピール

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   夏は人を大胆にする季節だが、沖縄県宮古島では「路上寝」が絶えず、困っている。会社帰りや宴会などで酔っぱらった人が、路上でつい寝てしまうそうだが、宮古島では珍しくはないらしい。2009年中には宮古島警察署に715件の通報が寄せられた。

   とはいえ「路上寝」は、寝込みに金銭を奪う「仮睡者狙い」や交通事故の心配もあって、宮古島警察署は市と連携して「緊急アピール」を展開中だ。

道交法違反「罰金5万円以下」

   酔っぱらって公園や駅のベンチなどに、つい眠り込んでしまう人の姿を見かけることはあるが、それが路上となると問題だ。これは立派な道路交通法違反で、罰金5万円以下が科せられる。

   ところが、そんな「路上寝」が沖縄・宮古島では頻繁に起きている。宮古島警察署によると、2010年に起きた「路上寝」は、7月末までに350件。前年同期に比べて64件減ったが、「おそらく年間では、微減程度でしょう」(地域課)とみている。

   路上で寝ていても警察に通報されずに、しばらくして自分で目を覚まして帰宅する人もいるので、「実際にはもっと多いはず」と話す。

   その一方で、盗難や交通事故の心配する人からや、実際に家の玄関先やアパートの階段などに見知らぬ人が寝ていて困っているケースがあって、「通報件数は増えている感じです」という。

   宮古島では10年7月までに、「路上寝」の人が交通事故にあったケースが1件。盗難件数は6月までの半年に6件あった。

   交通事故にあった人は、電信柱の陰に寝ていたため、左折するクルマの死角になって轢かれた。宮古島署は、「別の管内ではひき逃げによる死亡事故が起こっています。とにかく危ないのでやめてほしい」と訴えている。

飲酒の風習「オトーリ」が一因

   宮古島の「路上寝」は夏に増える。多くの観光客でにぎわう季節でもあるが、路上で寝てしまう人の多くは島民で、観光客が羽目をはずして泥酔してしまうわけではないらしい。

   故郷に帰省してくる家族や仲間をまじえて、一席設ける機会が増えることが直接の原因のようだが、さらに背景には「オトーリ(御通り)」と呼ばれる宮古島の飲酒の風習がある。

   「オトーリ」は車座になって泡盛を飲む際、「親」が「子」に順番に杯をとらせる飲み方で、「子」は「親」から受けた杯を一気に飲み干さなければならない。このイッキ飲みの風習で、ついつい深酒してしまうということだ。

   宮古島警察署と市は現在、連携して「緊急アピール」を展開している。警察署が毎月発行する「交番だより」8月号には、「多発!深酒による路上寝」の見出しで「路上寝」写真を掲載。また、居酒屋などには啓蒙ポスターを貼って、過度な飲酒はやめるよう訴えている。

   市役所や銀行、コンビニでは、「路上寝」写真のパネル展を実施。その場で行ったアンケートには、「危ない」「みっともない」「教育上よくない」「こんなパパ、イヤだ」「醜態をさらすくらいなら飲むのをやめたら」などの声が寄せられている。

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