政府・日銀ともに「鈍い」
2010年8月25日朝になって、野田財務相はようやく「必要なときに適切な対応をとらなければならない」と円売り・ドル買いの為替介入に含みをもたせたが、後手後手の観は否めない。
同日の東京外国為替市場は、1ドル84円台前半で推移。また株式市場は円高が株安を招き、連日の年初来安値を更新、一時8807円41銭を付けた。終値は前日比149円75銭安の8845円39銭だった。債券市場では、長期金利が一時0.895%を付けて、7年ぶりに0.9%を割り込んだ。
第一生命経済研究所の主席エコノミスト・嶌峰義清氏は、「民主党も悪いが、責められるべきは日銀です」という。「為替介入はできればやらないのが筋です。日銀の独立性の観点から、政府があからさまに圧力をかけるにはむしろ問題。日銀が円高を促すような、追加の金融緩和策を、市場が求めていることにうまく呼応できなかったことが問題です」と話す。
いずれにしても、政府も日銀も、積極的に円高を阻止しようという姿勢が見られなかったことは間違いない。8月25日付の日本経済新聞1面で編集委員の菅野幹雄氏は「『鈍さ』の代償は重い」と、政府・日銀に猛省を促している。