様々な物品が出品されるネットオークションだが、太平洋戦争当時を伝える写真や日本兵の遺品などが米国のオークションサイトに相次いで出品されている。中でも高値が付いているのが、沖縄戦や硫黄島での戦闘に関するものだ。
米兵の遺族などが出品しているものとみられるが、その中には、「100%オリジナル」と題した貴重だと思われるものあり、地元沖縄では、沖縄戦の資料が散逸してしまう危険性を指摘する声も出始めている。
黒こげ遺体の写真に約200ドル
「eBay」(イーベイ)などの大手オークションサイトで、戦争関連のキーワードで検索すると、多数の戦争関連の物品が出品されていることがわかる。中でも特に高値が付いているのが、「沖縄戦の数日~数週間後に沖縄に駐留した米兵が撮影した」と説明されている、47枚組の写真だ。内容は、米兵の記念写真や、破壊された建物、塹壕の中で倒れていたり、黒こげになって民間人か兵士かも分からない状態の遺体の写真などだ。現時点では、約200ドルの価格がついている。
一方で、「たたき売り」状態な上に、日本兵の尊厳を傷つけるような出品のされ方をしている資料も多い。
例えば、「変な日本人のガイコツ 硫黄島!」と題した写真。白骨化した遺体の横で、米兵が笑顔でカメラに向けてポーズをとっているというもので、裏面には
「ジャップの遺体の向こうに立っているのが自分」
といった説明書きがある。最低入札価格は約2ドルに設定されているが、まだ誰も入札していない。
資料館などに寄贈するよう訴える
また、「破壊された日本の防空壕 硫黄島!」と題した写真も出品されている。こちらは、米兵が、日本軍が使っていたとみられる防空壕の大砲の上に座って笑顔を見せているというものだ。
いずれも、「100%オリジナル」というのがうたい文句だが、「イーベイでの信頼ある売り主です」との記述もある。業者が、戦争関連の物品を大量に出品している可能性もある。
写真以外にも、日の丸などの日本兵の遺品も出品されているという情報もある。
当然のことながら、地元・沖縄では反発の声があがっており、8月24日付けの「沖縄タイムス」では、
「本来は沖縄に帰するべきもの。沖縄戦で亡くなった死者にムチを打つ行為」
などとする識者の声を紹介。記事では、
「オークションでは個人の収集家が落札していると見られ、遺族のとって大事な品物や沖縄戦の資料が散逸する事態にもつながりかねない」
などと、資料館などに寄贈するよう訴えている。