当初「気持ち悪い」などと言われていた奈良県平城遷都1300年祭のキャラクター「せんとくん」が大人気だ。ライセンス契約額は40億円を突破。対抗馬として登場した「まんとくん」を大きく上回る人気ぶりで、地元土産物店も「今後も奈良のキャラクターとして定着してくれれば」と期待している。
せんとくんは、2010年に奈良県全域で開催される平城遷都1300年祭の公式キャラクターとして08年春に登場。坊主頭に鹿の角を生やした子供のキャラクターだ。「マスコットキャラなのに可愛くない、気持ち悪い」などと話題になり、新聞・テレビなどでも大きく取り上げられた。
卵やうどんのパッケージにも登場
最初は不人気で白紙撤回署名運動も起きたほどのせんとくんだが、尻上がりに支持を広げてきた。
せんとくんの権利管理している「平城遷都1300年事業マスターライセンシーオフィス」によると、せんとくんの関連グッズのライセンス契約額は7月末で40億円を突破。現在、約1500種類のグッズが各地で販売されているという。「ライセンシーオフィス」の石崎裕所長は
「4月以降急激に伸びまして、現在約200社と契約しています。関西地域では駅ナカやコンビニなどにポスターが貼ってあったりしますし、最近では、お土産だけでなく、卵やうどんのパッケージにもせんとくんが採用されています。一キャラクターとしてしっかり認知されているようです」
と話す。
売れ行きもかなり好調なようで、約1200種のせんとくんグッズを扱う公式記念ショップ2店舗(平城宮跡会場内)の売上高は8月15日現在5億1600万円。11月7日までの期間中の目標額4億8000万円を突破した。運営する近鉄百貨店の担当者によると、携帯ストラップや、せんとくんのイラストが表面に焼かれたカステラ焼が人気だという。
見慣れてきて次第に愛着がわいた
せんとくんには当初、「まんとくん」というライバルキャラクターがいた。せんとくんの選定方法などに不満を持った地元クリエーター達が公募したキャラクターで、09年秋には、ロッテのガムのCMにも登場。一時はせんとくんと肩を並べる人気振りを見せた。
しかし、せんとくんとまんとくん、両方のグッズを扱っている近鉄奈良駅近くの土産物店「ならクターショップ『絵図屋』」によると、現在せんとくんの方が売れているという。1300年祭がスタートした1月ごろは拮抗していたが、その後は7対3でせんとくんが優勢。担当者は、
「最初は『気持ち悪い』と言われていましたが、メディアに多く露出して見慣れてくると愛着がわいてくるようです。公式キャラクターというのも大きいです。平城遷都1300年祭のキャラクターでしたが、今後も奈良のキャラクターとして定着してほしい」
と話している。
また、せんとくん登場直後に最も反対していたのが地元の人たちだ。現在、奈良市街では駅から商店街までせんとくん一色となっているが、近鉄奈良駅近くに住んでいる男性は「最初は『公募もせずになんで勝手に決めるんだ』といった声が出ていましたが、最近ではめっきり聞かなくなりました。見慣れてしまって、皆知らず知らずのうちに受け入れてしまっているようです」と話していた。