JALスッチーの暗い未来  転職しようにも当てがない

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   JALのスチュワーデス「残酷物語」がマスコミを賑わせている。給料が激減し「冬のコートが買えない」。いつクビになるかわからず、転職もままならない。親から仕送りを受けやっと生活している契約スッチーもいるのだという。

   月刊誌「プレジデント」の 2010年7月5日号に掲載された記事「リストラに怯えるJALスッチーの悲鳴」には、42歳のJALベテランスッチーの「今」が紹介されている。

年内に大幅な賃金カットが行われる?

   30代半ばで1000万円弱あった年収が2009年は700万円で、冬のボーナスはゼロ。

   都内のマンションに一人暮らし。家賃は駐車場込みで18万円。両親に生活費を毎月10万円渡している。給与では生活できず、貯金を崩しながら生活している。

   先行きの見通しもない。だが、転職しようにもその当てがない。早期退職に応じた同年代の同僚はタクシーの運転手を勧められたという。2010年9月に整理解雇が実行されるとの噂も出ており、孤独死などのニュースを見る度、独身スッチーとの間で、

「寝てる間に死ねたら楽だよね」

とキツイ冗談を言い合うのだという。

   それでも年収700万円の正社員は恵まれている、という人も多い。ただ、この女性も、クビにならなくても年内に大幅な賃金カットが行われるのは必至。転職しようにも意外に潰しが利かない。家のローンや親の介護などを抱えているため、辞めたくても辞められない。そんな人は少なくない。スッチーの世界が「地獄絵図」になる日もそう遠くないようだ。

   スッチーの悲哀は、ほかにも様々なメディアが取り上げている。朝日新聞(2010年2月21日付け)にはJALスッチー3人が登場した。東京の高級住宅地のマンションに住んでいた45歳のスッチーは大阪転勤となり、節約のために実家で暮らすようになった。38歳のスッチーは「買い物や外食を自粛。この冬は同僚との忘年会も新年会もやめた」。

   30歳のスッチーは冬のボーナスがゼロだったため、大学時代の友人と計画していた海外旅行をやめただけでなく

「今年は冬のコートも買っていません」

と話していた。

タクシー通勤禁止になり、自腹が増える

   「週刊ポスト」は10年6月18日、25日の合併号で「あぁJALスチュワーデス残酷物語」という特集を組んだ。10年5月末付けの特別早期退職者制度にはJAL側の想定退職者1700人に対し応募は3610人。うち、スッチーを含む「キャビンアテンダント」は1370人だった。しかし、退職しても次の働き口がない。スッチーの転職を斡旋するサイトには時給1300円の病院の受け付けや、時給1200円の電話オペレーターなども掲載されている。キャバクラの面接に行くスッチーも現れている、という。

   パーサーを長く勤めたJALのOBはJ-CASTニュースに対し、

「若いスッチーは親から仕送りを受けやっと生活している状態。そんな悲惨な契約スッチーは400~500人いて、3年勤務後に正社員になる人事制度でしたが、おそらく全員、正社員になるのは無理でしょう」

と説明する。彼女達の手取りは月に20万円程度。搭乗する機会が減れば給与は下がる。都内に一人暮らしをする場合はセキュリティーの問題もあって、マンション家賃に月15万円ほど必要。給与では賄いきれず、親からの仕送りを受けてまで正社員を目指す例は少なくない。ただ、人員整理の嵐が吹いていて、路線も縮小、JALの資金難もあって、彼女達の正社員への道はなくなる、とOBは予想する。

   また、タクシー通勤が禁止になり、自腹が増えて、生活を圧迫している。スッチーに興味がある人は依然として多く、電車を降りた後、尾行されるなどストーカーまがいのことも過去に起きている。だから自分の身を守るためタクシーを使わざるを得ない、というのだ。

「メディアの取材は全てお断りしています」

   こうした状況をJALの労働組合はどうとらえているのか。日本航空キャビンクルーユニオンに問い合わせてみたところ、

「メディアの取材は全てお断りしています」

ということだった。

   一方、JAL広報は、給与に対する不満は一部の社員にあるのかもしれないが、

「赤字の国際線、国内線を廃止すると同時に、社員の削減や給与カット、タクシー使用の全面禁止など、やるべき事をきちんとやっている、そういうことなんです」

と説明している。

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