橋下知事への対抗心か 大阪市が9000人超職員削減案

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   大阪市の平松邦夫市長が市職員を9000人超削減することなどを柱とする市政改革方針の骨子を発表した。近づく市長選を前に橋下徹府知事と批判合戦中の平松市長。今回の大型削減案は、「本気」なのか、それとも知事との「改革競争」のパフォーマンスなのか。

   「『大阪維新の会』(代表・橋下徹大阪府知事)に対抗して作成したとみられ(略)」。2010年8月24日、大阪日日新聞(電子版、以下同)は23日にあった市長の骨子発表会見についてこう報じた。

「知事からの口撃」はね返す意図?

大阪市改革の行く末は?
大阪市改革の行く末は?

   平松市長の発表によると、3万9038人(10年4月1日現在)の職員数を23年度末までに9000人超減らして2万人台にする。05年度の人数から10年3月末までに約8500人を削減したばかりだ。05年当時の職員数の約18%を削減した計算になる。

   「橋下知事が『大阪市の改革が止まった』などと不当な内政干渉を繰り返し、市民を惑わせている」。平松市長は、10年8月23日の会見でこう訴えた。骨子発表は、知事からの「口撃」をはねかえす意図があるとも受け取れる発言だ。

   大阪日日新聞だけでなく、「橋下知事に対抗する狙いもあるとみられる」(毎日)、「橋下徹大阪府知事からの批判をけん制する狙いがあるとみられ」(日経)などと報じられている。

   橋下知事らは、職員削減も含めた大阪市の独自改革案をまとめつつある。市長は「(知事側が)本来比較すべきでないことを比較し、市民を惑わせている。市民のために発信しなければ」と会見で述べた。「対抗心」に燃えているように聞こえなくもない。知事との「改革競争」を意識するあまり、職員削減数がふくらんだ、ということはないのだろうか。

   大阪市長選(11年12月任期満了)を巡っては、平松市長に批判的な橋下知事が市長選に鞍替えするのでは、という説も流れている。平松市長は、複数の市議に再選を目指す考えを伝えたとの報道もある。

サイトでも「対立の火花」

   もっとも、大阪市の職員数は、横浜市の職員数2万7200人(4月1日現在)より約1万2000人多いが、人口は横浜の方が約100万人多い(推計、7月1日現在)。この点について平松市長は、地下鉄利用者は大阪の方が多いことなどを挙げ、「単純比較はできない」としている。

   大阪市の市政改革室によると、06年2月に「当面5年間で7000人を超える削減」をうたい、10年4月段階で目標を上回る約8500人を削減している。さらに、07年2月の段階で、同計画完了以降も将来的に削減をすすめるよう数値目標(一部部局を除く)を立てていた。ざっくりした計算では、削減数は現在ほぼ中間地点にあたると言えそうだ。骨子にうたわれた人員削減計画は、市長選を前に急に降ってわいたものではない、というわけだ。

   一方、大阪市役所のある労組関係者は、骨子発表について「人員削減の流れはあるにしても、知事と市長の対立が削減の話に拍車をかけている気もする」と懸念していた。別の労組の男性は「まだ人員削減の正式提案があった訳ではなく、どうこう言う段階ではない」と話した。

   朝日新聞などによると、橋下知事は市長が発表した骨子に対し、「(削減の)ターム(期間)が長すぎる」と批判的だ。

   大阪市役所のサイトには、「橋下大阪府知事の『平松市長の<地域主権確立宣言>に対する反論』に対する大阪市長の見解」(8月16日)など、2人の対立ぶりをうかがわせる資料が掲載されている。ある政令指定都市の人事担当部局の男性職員は「大阪の実態は知りませんが、一般論としては人員削減と政争は当然、切り離すべきですね」と話していた。

   平松市長の「骨子」には、人員削減のほか、府の外郭団体削減や市営地下鉄の運営部門民営化なども含まれている。

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