8月も後半だというのに、連日厳しい暑さが続いている。ここ数年、夏に日傘をさして歩く男性を見かけるようになった。百貨店や専門店でも、男性用日傘の品揃えに力を注いでいる。2010年は単色のシンプルなタイプに加え、Tシャツにジーパン姿でも似合うカジュアルな日傘も登場した。「日傘男子」はどこまで増えるのか。
いとうせいこう氏のツイッターがきっかけ
いとうせいこう氏のつぶやきで新しい日傘が誕生
伊勢丹新宿店メンズ館の傘売り場担当者は、実感として日傘を探す男性の数が最近増えてきたと話す。同店は、昨年5種類の型で男性用日傘を展開したが、今年は12種類にラインアップを増やした。晴雨兼用の長傘タイプで、黒や紺より、ベージュやサックスブルーといった涼やかな色が売れ筋だという。
傘の企画・販売を行う明治29年創業の「心斎橋みや竹」(大阪市)は、今年に入って男性用日傘を1000本以上売り上げている。四代目店主の宮武和広さんは、
「炎天下でも外出するビジネスマンのために、スーツに似合うシンプルな日傘を提案してきましたが、今年は新しいニーズが見えてきました」
と語る。きっかけは2010年7月23日にツイッター上で見つけた、クリエーターのいとうせいこう氏による「男日傘、売ってないかな?」「俺、ドクロの柄欲しい。」というつぶやきだ。
さっそくツイッターを通じていとう氏とコンタクトを取り、いとう氏が描いたドクロマークを黒い布地にプリントした傘を2週間ほどで商品化。「男の日傘ドクロ Docrot-01エディション」としてネットショップで販売したところ、用意した36本が即日完売した。いとう氏のファンだけでなく、「ラフな格好でもさせる日傘を探していた」という男性客の声もあったそうだ。
男性へのギフトとして女性が買っていく
好評に応えて、8月23日午後10時からは、チタンカラーの布地を使った「Docrot-02」、綿素材でサイズを大きくした「Docrot-DX」、柄の部分にツイッターのアカウントを名入れした「Docrot-SPDX」の注文受付を開始した。ツイッターで当日午後3時すぎに予告したところ、7時の時点で問い合わせが30件以上届いたという。価格は、「02」5775円、「DX」10500円、「SPDX」12600円。いとう氏のアイデア料はNPOの「国境なき医師団」に全額寄付される。
バリエーションが増えたとはいえ、日傘をさすには抵抗があるという男性はまだ少なくないという。いとう氏が「必要だと思う人が一気に使い出せばひと夏で違和感消える」と発言しているように、男性用日傘を使用する人が増えれば、ハードルは下がるのかもしれない。ちなみに、伊勢丹新宿店メンズ館で日傘を購入するのは3~4割が女性で、男性へのギフトとして購入していく人が多いという。すすめられて使ってみたら、予想以上に涼しくて手放せなくなったという人も多そうだ。