マンガの違法コピーがネット上に氾濫している問題で、出版社などの著作権管理団体から違法アップロード者に対する警告が繰り返されてきたが、最近はマンガ家自身が「ツイッター」やブログで過激な批判発言を展開するようになった。
中にはアップロード者に対し「はやく膵臓癌とかになりますように」とか「隕石に当たって死ね」などといった過激なものまで出る始末だ。
「爆笑するような死に様で今生から消えて欲しい」
人気漫画「ブラック・ラグーン」などの作品があるマンガ家の広江礼威さんは、あるマンガ作品の全巻をネットにアップし得意そうにしている人を見つけたとして、
「親にどういう教育受けてんだか疑うけど その なんだ はやく膵臓癌とかになりますように」
と2010年8月21日につぶやいた。これに反応したのが「ずっとお姉ちゃんのタ-ン!!」などのマンガ家・琴吹かづきさん。癌で死ぬとしても死ぬまでに何度もアップされる可能性があるとして、
「今度外出た時に雷に打たれるとか隕石が当たるとかでいいよ、もう。積極的に死を願う」
とリツイート。「HELLSING」などの作品のある平野耕太さんもこの話題に参入し、違法アップする奴だけでなく、それをありがたがって読む奴も同罪だとし
「後世の医学者が頭抱えたり腹抱えて爆笑するような死に様で今生から消えて欲しいです」
とつぶやいた。
違法アップロードに対しては、著作権を有する出版社や業界団体などから繰り返し警告がなされてきたが、このところ作者や制作現場から「個人的に」非難する書き込みがネットで目立つようになった。
止められない出版社に対し強い不信感?
アニメ化もされている「黒執事」のマンガ家・枢やなさんは2010年8月15日付けのブログで、「(黒執事のアニメを)海外動画サイトで全部探して見ました!」というメールをファンから受け取り愕然とした、と書いた。こんなメールを原作者に送ってくるモラルの低下に背筋がぞっとしたとし、
「『黒執事がすごく好きです!でも、中の人達は無収入にして飢え死にさせたいです★』ってメールを送ってきてるのと一緒です」
と嘆いた。
マンガ家から出る批判について、大手出版社の編集長は、
「マンガ家達は収入が減っている原因が違法アップロードであり、それを止められない出版社に対し強い不信感を持つようになっている」
と打ち明ける。そのため、出版社だけに頼っていられないとし、自ら発言するようになったのだろう、というのだ。だが、今のところ違法アップロードを止める効果的な手段はない。マンガ家の中には自分でサイトを作りマンガの有料配信をする人も現れた。
「どうせ違法アップされるなら、ネットで売ったものをアップされた方がまだ気分的に楽、というマンガ家もいる。既存の出版社とマンガ家の溝の深さは増す一方です」
と編集長は話している。