居酒屋などで知られるワタミの渡邉美樹会長の叱り方論が話題を呼んでいる。「(ビル8階とか9階で会議中)いますぐ、ここから飛び降りろ!と平気で言う」としたくだりが注目を集め、インターネット上では擁護論もあるが、「単なるパワハラ」などと批判が噴出し、議論が盛り上がっている。
「『飛び降りろ!』とか久しぶりに聞いたな。昔はそんな上司が結構いた」。ある年配の男性は、渡邉会長発言についてこう感想をもらした。
「好きでなければ叱る資格なし」
渡邉会長発言が紹介されたのは、ビジネス総合誌プレジデント(10年9月13日号)でのインタビュー記事だ。「なぜ『飛び降りろ』と叱咤できたのか:ワタミ会長 渡邉美樹」の見出しでネット上でも8月21日に配信された。
刺激的な見出しの影響もあってか記事は注目を集め、ネット掲示板2ちゃんねるでは、複数のスレッド(話題提供のための見出し)が立った。
「なぜ『うちはブラック(企業)ですよー!』と大声で知らしめようとするのか」「単なるパワハラ的な物言いを『ハートは熱い』と勘違いしている」といった趣旨の批判的な声が多く並んでいる。
中には、「良いこと言ってる」「部下を持って初めて叱ってくれる人のありがたみが分かる」という肯定的な見方もある。
プレジデント記事によると、渡邉会長は、叱る際に「心のままに」と「冷静に」という2つの原則を持っているそうだ。「冷静に」とは「叱る理由をきちんと伝える」ことだ。
問題となっている「たとえばビルの8階とか9階とかで会議をしているとき、『いますぐ、ここから飛び降りろ!』と平気で言います」との発言は、「心のままに叱る」例として挙げられている。
もっとも、渡邉会長は「叱るときにも、根底にあるのは『好き』という感情で、好きでなければ叱る資格はないんです」「『辞めろ』と言ったことは1回もありません。社員が好きだから、絶対に辞めてほしくないんです」とも述べている。