日銀が追加金融緩和渋る理由 秋以降に備え「温存」したい

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   円相場の高止まりと4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率の急減速で、政府・日銀の追加経済対策が注目されている。だが、超低金利政策が長期化する中、日銀に残された政策手段は乏しい、として日銀は消極的だ。世界的な景気減速が見込まれる秋以降に向けて、追加緩和をできるだけ先送りしたいのが本音だ。

   「マスコミは臨時、臨時と言っているが、我々は追加緩和する局面だとは思っていない」。菅直人首相と白川方明総裁が2010年8月23日にも会談する見通だとし、新聞各紙が「日銀がその直前に臨時会合を開いて追加緩和に踏み切る可能性」と報じると、ある日銀幹部は気色ばんでこうした見方を否定した。会談は23日朝、電話で行われ、経済金融情勢について意見交換したとされている。

円相場や株価の動きをそれほど悲観視していない?

   ドバイ・ショックを受けた2009年12月の円高局面では、日銀は鳩山由紀夫首相(当時)と白川総裁の会談直前、電撃的に臨時会合を開いて追加緩和を決定した。菅・白川会談の設定はこれを思い出させるが、日銀は「今回はドバイの時とは違う」(幹部)と予防線を張る。

   日銀が追加緩和を拒む理由として挙げるのが、円相場や株価の動きだ。ドバイ・ショック時と同様、今回も一時、1㌦=84円台まで円高が進んだものの、その後は85円台に戻し「一本調子で上がる状況ではない」(日銀幹部)ことだ。企業業績は昨年に比べて改善しており、企業が円高への抵抗力をつけているうえ、株価も企業業績の改善を背景に売り一色ではない――というのが日銀の主張だ。

   大幅に鈍化した4~6月期のGDP成長率についても、7、8月は猛暑効果やエコカー補助金の駆け込みなどで消費が伸びたとみられることから、日銀は「踊り場を示すデータはまだ何も出ていない」(幹部)と強気の見方を変えていない。

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