遊びの中で仲間への気遣い覚える
習い事や学習塾に通う子どもたちは、以前に比べて確実に増えていると見られる。両親が共働きの場合、平日子どもだけを家に残しておくのが心配で月曜から金曜まで何らかの習い事をさせるという家庭もあるそうだ。
子どもの教育を専門分野とする武庫川女子大学の西本望教授によると、放課後も日々の予定に追われている子どもたちは、「友だちと遊ぶにも『来週の水曜日に』などと予約をしなければなりません」という。お互いに忙しいので「誘ったら悪いな」と気を遣い合った末、友人同士のかかわりが薄くなる傾向もある。缶けりやかくれんぼなど、大人数が必要な遊びは当然難しい。
だが、大勢で外で遊ばなくなると、体力面以外にも弊害が出てくると西本教授は指摘する。「外遊びでは、体力や年齢が違う子どもたちが集まることが多い。その中でお互いに気を配ったり、肉体的ハンディを抱える仲間を助けたりすることを学びます」。ルールを守ることの重要性を覚えるのも、効果の一つだ。大人数の遊びを知らずに育てば、対人関係に影響してくる懸念がある。
最近は、子どもに外で遊ぶ機会を「与える」動きも出てきた。特定非営利活動法人・放課後NPOアフタースクールでは、週1回、ゲームや塾通いをやめて放課後に大勢で遊ぼうと呼びかける。活動の中には外遊びも含まれる。
異なる学年の子どもを混ぜて、泥棒役を警官役が捕まえる「どろけい」を実施した際に、「徐々に上の学年の子が『今度はこんなルールにしたら面白くなるよ』と仕切るようになりました」と、副代表理事の織畑研氏は振り返る。遊びの中で子どもなりに楽しみ方を考え、実践する。「機会を与えてあげれば、今の子どもたちも十分に学び、身に付けていくんです」と織畑氏。
連日ギッシリのスケジュールに追われる子どもには、時にはムリにでも大人が機会を提供して、外に遊びに行かせるのも有効のようだ。