かくれんぼや鬼ごっこと並んで、子どもの遊びの定番と言えば缶けりだろう。ところが今、缶けりをやらないどころか、存在すら知らない小学生が出てきたというのだ。
遊び場の減少や少子化が進む一方、特に室内での遊びが多様になってきたため、外遊びを避ける子どもが増えていると見られる。昔ながらの大勢で楽しむ遊びが廃れると、子どもにとっては、コミュニケーションのとり方や社会の規範を守ることの「学習機会」が減ることにもつながるようだ。
忙しすぎて仲間と遊べない
「缶けりって、何?」
こんな子どもが最近増えている。UCC上島珈琲は2010年6月11日、都市部とそれ以外に住む小学生100人を対象に実施した缶けりに関するインターネット調査の結果を発表した。それによると、回答した小学生の4分の3が缶けりを経験したことがなかったという。さらに、缶けりそのものを知らないと答えた小学生も1割を超えた。
缶けりを含めた外遊びは、育ち盛りの子どもにとってはいい運動だ。体を動かす機会が少なくなれば、体力も落ちるだろう。財団法人日本レクリエーション協会は、文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」をもとに、1978年当時の11歳児と、2008年の11歳児の体力測定記録を比較した。50メートル走やソフトボール投げで、08年の11歳児の方が男女とも記録が劣っている。最近では、スキップもできないほど体を動かす力そのものが低下している子どもがいるようだ。
外遊びの機会が減った背景として、空き地や安全な路地といった手ごろな遊び場が昔と比べて少ないこと、ゲームをはじめ屋内で遊べる選択肢が増えたこと、少子化により一緒に遊べる仲間そのものが減っていることが挙げられる。さらに、子どもが忙しすぎるのが大きな要因のようなのだ。