公認候補集めに四苦八苦 河村名古屋市長の「前途多難」

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   1年以上続く名古屋市の河村たかし市長と市議会の対立が決定的になった。河村市長の支援団体「ネットワーク河村市長」は2010年8月17日、市議会の解散請求(リコール)に向けた署名活動の実施を市選挙管理委員会に申請した。

   8月27日にも議会解散の是非を問う署名集めを始める。市議会はこれに反発、9月の市議会定例会で河村市長に対する不信任決議案を提出する調整に入った。

約36万5000人以上の署名を期待

   河村市長は手続き開始について「09年の市長選で51万人余りから支持を得た恒久的な市民税減税などの公約が議会に阻まれてきた。議会を解散し、市民による市民のための議会を作りたい」と説明した。

   支援団体は、27日から1カ月の期間中に有権者の約2割に当たる約36万5000人以上の署名を集めたいとしており、実現すれば10月末にも議会の解散請求を行う予定。その場合、11月上旬から2011年1月上旬までの60日以内に議会解散の是非を問う住民投票が実施され、有権者の過半数が賛成すれば議会が解散される。ハードルは低くないが、河村市長は「市民を信頼しているので、署名が集まらない事態は想定していない」と述べた。

   ただ、河村市長の思惑通りに進むかは予断を許さない。市議会の横井利明議長は17日に行った記者会見で「市議会も民意を受けており、市政のチェックをするのが役目」と述べたうえ、「厳しい経済情勢のなか、市長と市議会が協力して市民生活の改善に立ち向かわなければならないときに、市長が先導して議会を解散しようとするのは疑問」と批判。9月定例会で市長に対する不信任決議案を提出する検討を始めたと明らかにした。

   河村市長は当初、自らが市長報酬を800万円に削減したうえで、議員報酬や定数の半減などを求めるなどし、無風だった市議会への市民の関心を高めた。だが、就任2年目に入り、対立ばかりが焦点になる市議会の動きに市民の間でも「市長のやり方も稚拙すぎる」という厭戦ムードが漂い始めている。

市議候補者は現状で20人前後?

   河村市長は、市議会解散と同時に自らも市長を辞職し、自らの支持基盤である無党派層の関心を高めるため、2011年2月に任期満了となる知事選と合わせたトリプル選に持ち込むシナリオを描いている。その際、市議選には自らが設立した地域政党「減税日本」から議会定数75の過半数を上回る40人程度の公認候補を立てると説明してきた。しかし、関係者によると、集まっている候補者は現状で20人前後とされ、「候補者の質を精査できる状況ではない」との声もある。

   河村市長がかつて所属していた民主党愛知県連は8月7日、河村市長のこれまでの動きについて「反党行為」(民主党愛知県連の牧義夫代表)と認定し、09年の市長選で出した河村市長への推薦を取り消すよう党本部に要請、市長選に対立候補を立てる構えだ。

   市議会では「反河村」派が大半のため、市長に対する不信任決議案が提出されれば成立することは確実。その場合は河村市長も対抗上議会を解散、自らも辞職して市長選に再立候補する姿勢で、2011年2月以降の市議・市長選という想定より日程が早まる可能性もある。その場合、経験も知名度も足りない河村陣営にとっては逆風になることも予想されている。

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