他人でなく、自分に向けて発する 言葉はこれで「ちから」を取り戻す
梯久美子さんに聞く「言葉のちから」/創刊4周年記念インタビュー第4回

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ネット上の個人ブログの言葉は「力」を持っている

――活字離れが進む一方、ネットで文章を読む人が急増している現代の「言葉のちから」についてどう考えますか。

 言葉の役割を考える際、今は「他人とコミュニケーションするため」の側面ばかりが強調されている気がしますが、自分がどう感じ、何を考えているかを整理するための言葉、つまり「自分のための言葉」という面ももっと重視されて良いと考えています。

――「自分の言葉」とはどのようなものでしょうか。

 ネット上の個人ブログでの言葉などの中に、商業化されたマスコミ言葉ではない「自分の言葉」としての「力」を持っているものを見つけることが時々ですがあります。例えば、私の本を取り上げてくれる書評の場合、新聞や雑誌にはない鋭さや、生活実感のあるリアルな言葉を見つけてハッとさせられることがあります。
   言葉が、他人向けだけでなく、自分に向けての「ちから」を取り戻す意味で、ネット上にみられる「自分の言葉」には可能性があると思います。
【プロフィール】

梯久美子(かけはし・くみこ)
ノンフィクション作家。1961年生まれ。北海道大学卒業。編集者を経て文筆業に。06年、「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は世界8か国で翻訳・出版されている。「世紀のラブレター」「昭和の遺書―55人の魂の記録」などの著書がある。近著に「昭和二十年夏、女たちの戦争」(角川書店)、「硫黄島 栗林中将の最期」(文春新書)がある。


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