日銀の成長基盤強化に向けた新貸出制度を活用した取り組みが、全国の金融機関に広がっている。メガバンクのほか、地方銀行や信用金庫も地元のニーズに合わせたファンドなどの融資枠を相次いで設定。日銀の狙い通り、日本経済をデフレ脱却に導く「呼び水」となるのか。
日銀の新貸出制度は、環境・エネルギーなどの成長分野に融資した金融機関に対し、政策金利と同じ年0.1%の低金利で最長4年、上限1500億円を貸し出す。
農産物の生産から流通まで一体したビジネス
成長産業に総額3兆円の資金を流すことで、日本の成長力向上やデフレ脱却へのきっかけにする狙い。9月上旬に第1弾の貸し出しが実行される。
日銀の公募に対し、これまで約70の金融機関が手を挙げ、このうち、地方銀行や信用金庫は50を超える。地域金融機関には、日銀からの資金を活用して、地元の主要産業を応援しようとするユニークな取り組みが目立つ。
宮城県の七十七銀行や岐阜県の十六銀行は、周辺地域に集積する自動車関連産業を支援対象の一つに掲げた。北海道銀行は、農産物の生産から加工、流通まで一体化したビジネスを展開する「農商工連携」などを支援。「発光ダイオード(LED)」で高いシェアを持つ日亜化学工業のおひざ元、徳島県の阿波銀行はLED関連産業を対象に盛り込み、地域の産業集積を後押しする考えだ。
京都銀行や、別府など温泉が多い大分県の豊和銀行は、政府が外国人客の誘致などを成長戦略に盛り込んだ「観光分野」の支援を掲げる。