ブランドの経営力が問われ 今後は優劣がはっきりしてくる 
「しまむら」野中正人社長に聞く「ファストファッションの未来」/創刊4周年記念インタビュー第3回

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

「しまむら」型と「ユニクロ」型の違い

――「ユニクロ」と比較されることについて、どう思いますか。

野中 業態が異なるので、厳密な形で比較することはできないと思います。ユニクロさんは商品を作り、販売する製造小売業(SPA)で、当社は企画、製造をせず、サプライヤー(供給者)から仕入れた商品を売る小売業です。なぜ、企画製造をしないのかというと、当社の規模だとこの部門に数千人が必要で、自前でその機能を持つことに見合うだけの結果が得られないと考えているからです。「餅は餅屋」。物を売るのが私たちの仕事です。それに、トレンドの商品を仕入れるほうが圧倒的に楽しいですし、製造面の縛りがないので多種多様なトレンド商品を店に並べることができ、お客様にも喜んでいただけます。これも同じ商品をたくさん作って店に並べなければならないSPAと違う点です。

――そういえば、「ユニクロ」の服が友人と被ってしまうことを「ユニ被り」と呼び、恥ずかしいと思う若者も多いようです。

野中 若い人たちは他人と被りたくないですし、ちょっと違ったものの方がいいと思うものです。当社では仕入れ分が売り切れたらおしまいで、追加仕入れをほとんどしません。違うものを仕入れる方がお客様に楽しんでもらえると思うからです。当社の場合、週に6回は新しい商品が店頭に並びます。1か月もすれば、売り場のイメージががらりと変わる。1つのものを一定量作り続けなければならないSPAではこれは難しい。「明日来たら、また新しい商品がある」。そうお客様に思われなければ、足を運んでもらえません。

――「H&M」「フォーエバー21」「ZARA」といった海外ファストファッション勢が近年、相次いで出店しています。

野中 20年ほど前から海外のファストファッション市場に関心を持って見ていました。ヨーロッパを中心に多店舗展開している「H&M」や「ZARA」などは、流行を取り入れた商品を短期間に大量製造し、安く販売していて、すごいと思います。その「H&M」が08年秋に東京・銀座に初出店したのをきっかけに「ファストファッション」という言葉が国内で定着しました。「フォーエバー21」も09年4月に上陸して、メディアに取り上げられると、ファストファッションがますます話題になり、それまでファッションに興味がなかった人も含め、日本中の人の関心を集めました。
   当社もファストファッションブランドとしてメディアで紹介されるようになり、若い女性のお客様が増えました。「しまむら」を愛用するお客様が「しまらー」と呼ばれ、社会現象にもなりましたし、海外勢の日本進出は当社にとってすごくプラスでした。今後もファッションが話題になることは大歓迎で、欧米には日本で知られていないファストファッションがまだまだありますから、力のあるブランドにはどんどん出てきてもらいたいと思います。
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