ブランドの経営力が問われ 今後は優劣がはっきりしてくる 
「しまむら」野中正人社長に聞く「ファストファッションの未来」/創刊4周年記念インタビュー第3回

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   「H&M」や「フォーエバー21」といった海外勢が続々と上陸し、「ファストファッション」は、もはや国内ファッション界の中核といっても過言ではない。成長を続けるこの分野は、どんな方向に進もうとしているのか。「しまむら」野中正人代表取締役社長に、ファストファッションの現状と未来を聞いた。

20~50歳代の主婦はやりの洋服を着たい

「ファッションを通して日本のお客様の生活を豊かにしたい」と語る野中社長
「ファッションを通して日本のお客様の生活を豊かにしたい」と語る野中社長

――そもそもファストファッションとは何なのか、聞かせてください。

野中 当社の衣料品は世間でファストファッションと呼ばれていますが、実は自分たちではあまり意識していません。インタビューを受ける前に調べてみたら、「トレンドの衣料品を安く提供する」という定義がありました。当社は「トレンド感があり品質の良い衣料を安く提供する」ことを心がけているので、当てはまるのでしょう。
   当社は2000年頃まで、品質のいい衣料品を安く売ることに力を入れていて、流行に関しては半歩遅れていました。当時は、流行のスパンが今よりも長く、1年前にはやったものを売っていても特に問題はありませんでした。トレンドを強く意識するようになったのは2003年頃からです。この頃から「しまむら」のターゲットゾーンの20~50歳代の「主婦」も、はやりの洋服を着たいという願望が強くなって、当社もトレンド商品を仕入れるようになりました。

――仕入れの際にこだわっていることは何ですか。

野中 全国にチェーン展開している当社の場合、商品を大量に仕入れなくてはいけません。なおかつ、トレンドの商品にはスピードが欠かせません。メーカーとの商談から店頭に商品を並べるまで、だいたい2~3か月で行っています。また、商品を仕入れる上で、要となるのが50人ほどいるバイヤー(仕入担当者)の情報収集力と分析力。アパレルメーカーではないので商品の企画や製造はしていませんが、10年程前からバイヤーは海外に行き、ファッションの最先端を生で見て、経験を積んでいます。パリ、ロンドン、ミラノに2、3か月に1回、ニューヨークとロサンゼルスには4、5か月に1回行き、コレクションや素材展示会などを回って生の情報を収集し、社内で共有するよう努めています。
   業界紙や新聞の情報を参考にしたり、複数のアパレル関係者から情報を入手したりしていますが、すべての情報が正しいとは言えません。自分たちの目で見て情報を精査することが必要です。もっともコレクションのすべてを見ていたら仕入れに間に合わないので、ある程度決め打ちして行っていますが。
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