東証が昼休み廃止検討 ネット証券は積極的に支持

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   東京証券取引所が、世界の証券取引所間の競争に勝ち残ろうと、取引時間の延長を検討している。このほど、昼休み廃止など4案を公表しており、幅広く意見を募ったうえで2010年内に結論を出す予定だ。ただ、東証の株主でもある証券各社には、人件費などのコスト増加を懸念して反対意見が強く、実現するかどうかは微妙だ。

   東証の取引時間は午前9~11時の前場と、午後0時半~3時の後場の計4時間半。伝統的に昼休みがない欧米各国の取引所や、2000年に昼休みを廃止した韓国などと比べて短い。

投資や人件費に見合う効果が見込めない?

   海外市場との投資家争奪戦が激化し、東証の存在感低下が叫ばれて久しい中、取引時間延長は過去にも何度か浮上した。特に、インターネット証券には「昼休みに取引したいサラリーマンなど個人投資家を呼び込める」と延長を支持する声が多い。

   しかし、ネットになじみが薄い古くからの個人顧客を主基盤にする中堅証券会社を中心に、「昼休み廃止は、投資や人件費に見合う効果が見込めない」と否定的な声は根強い。延長時間帯の人員確保やシステム変更などが必要になり、費用がかさむためだ。また、大手証券会社は、昼休みに大口の投資家との間で多数の銘柄をまとめた「バスケット取引」を行っており、昼休みがなくなれば「逆に取引が細る」と弊害を懸念する。

   さらに、「昼休みや夜間に取引が行われれば、企業もその間、適時情報開示する必要があり、広報業務の負担が増える」(東証幹部)と上場企業側にもデメリットが生じるとの指摘もある。デイトレーダーの間でも「昼休みなしで終日、パソコンに向かうのは正直きつい」とこぼす声が聞かれるという。

取引時間延長は世界的な流れ

   実際のところ、取引量は景気や為替の動向に大きく左右され、取引時間延長によって増えたかどうかを検証するのはほぼ不可能だ。一方、いったん延長すれば、効果が薄い場合も、「やっぱり止めた」というわけにはいかない。

   証券会社のコスト増は必至で、負担に見合う効果の保証がないだけに、東証も「中立的立場」を強調、斉藤惇東証社長は7月下旬の定例会見で「東証が何かを決める方向というわけではなく、ニーズを調査しているだけ」と慎重な言い回しに終始した。

   とはいえ、取引時間延長は世界的な流れで、東証内に「何も手を打たなくていいのか」と焦りがあるのも事実。投資家の利便性向上か、それとも反対する証券各社の利益重視か――。議論百出の中、東証の決断が注目される。

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