不正のきっかけは不振の事業部存続のため
事件を起こしたのは水産飼料事業部の元水産飼料事業部長と前飼料製造部長ら4人とされ、いずれも2010年8月12日付で懲戒解雇処分になった。
水産飼料事業部は、ワイン事業が主力のメルシャンにとっては、いわば「副業」だ。メルシャンがキリン・ホールディングスと資本・業務提携を結んだことで、事業の先行きに危機感を抱き、見かけだけでも業績アップを図ろうと動いたことは想像にたやすい。
社内委員会や第三者委員会による関係者へのヒアリングからも、架空循環取引の動機の一たんが、うかがい知れるという。
8月12日にあわせて発表された10年12月期第2四半期の連結最終損益では、水産飼料事業の不正会計による5億円の損失の計上を理由に、従来予想の3億円の赤字から25億8200万円の赤字に修正。最終損益の通期予想も8億円の黒字から23億円の赤字に転落する見通し。架空循環取引とそれに伴う赤字決算で、同社のイメージダウンは必至だ。
なお、役員の責任の有無などは8月下旬の第三者委員会の報告書で明らかにされる。