日本は守備型執着やめ 勇気持って攻撃的パスサッカーを
木崎伸也さんに聞く「日本サッカーの未来」/創刊4周年記念インタビュー第2回

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本田選手は本来プレーしているトップ下の方が生かせる

――FWはどんな選手がいいでしょうか。

木崎 FWはメンタリティーにも関わる非常に難しいポジションです。一般的に心拍数が上がるとキックの正確性は落ちると言われています。また、足の振りが骨格、筋力により生理学的に優れている人もいます。度胸という言葉になるのかもしれませんが、プレッシャーのない場面で正確に打てる選手は多いことを考えれば、才能と言える部分があります。
   訓練によって育てていくこともできるかもしれませんが、限界もあるでしょう。たとえば自信がなくて心拍数が上がるのなら、技術を高めればよい。でも、ゴール前のコンマ何秒の世界で力を発揮するには、FW向きだと思う選手を前線で使ったり、FWは専門職だと理解して、探し出したりすることも必要ではないでしょうか。

――今大会同様、本田圭佑選手(CSKAモスクワ)をFWにするのはどうでしょうか。

木崎 本田選手のワントップが急造にも関わらず機能したのは、ボールキープ力が優れていたからです。ぶつかってもびくともしないたくましい骨格、筋力を持ち、チャンスにおける冷静さと判断力、シュートの正確さは、結果としてFW向きでした。彼は本来、ボールを受けてからのアイデアが豊富で、攻撃にメリハリをつけられる持ち味がある。攻撃に転じる時に一瞬の判断ができるのが魅力です。本田選手は本来プレーしているトップ下の方が生かせるのではないかと思っています。

――日本サッカーに期待することは。

木崎 今大会を客観的に振り返ると、勇気が感じられなかったと言えると思います。元日本代表で解説者の風間八宏さんは「サッカーは何をしなければいけないのではなく、何をやりたいのか」だとよく言っていますが、今大会ではデンマーク戦が唯一、「やりたいこと」を示せたと思います。義務感にかられたサッカーではなかったから、評価され、心に響き、結果にもつながりました。
   また、世界は日本がいいプレーをすれば絶賛し、ダメなプレーには厳しかったように、W杯で世界中の人は、この国はどんなサッカーをするのか、を楽しみにしています。さらに上のレベルに行くために、4年は短いのかもしれませんがビジョンを持って準備をするとともに、晴れの舞台では勇気をもったプレーをしてほしいと思います。

【プロフィール】
木崎伸也(きざき・しんや)
1975年生まれ、東京都出身。金子達人主宰のスポーツライター塾を経て、2002年日韓ワールドカップ後、スポーツ紙の通信員としてオランダに移住。2003年からはドイツに拠点を移し、2006年ドイツW杯では現地在住のスポーツライターとして記事を配信した。著書に『2010年南アフリカW杯が危ない!』(角川SSC新書)、『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、近著『世界は日本サッカーをどう報じたか「日本がサッカーの国になった日」』(ベスト新書)も好評。

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