「ETCSのせいでないとの証明は難しい」
NHTSAの発表を受けて米メディアは、「トヨタ車事故の多くは運転手のミスと調査で判明」(ウォールストリートジャーナル電子版)、「トヨタの電子システム初期の調査では欠陥見つからず」(ニューヨークタイムズ電子版)などと報じた。また米自動車「ビッグ3」のお膝元、デトロイトの有力紙「デトロイトニュース(電子版)」によると、トヨタに集団訴訟を起こした原告弁護団に協力する自動車安全管理の専門家が、低速の場合やエアバッグが作動しなかった場合の事故は除外されていたとコメント。さらに、07年以前のトヨタ車のほとんどが、事故発生直前のデータを収録できる記録装置を備えていないとし、NHTSAの調査結果がすべての事故から得られたものではないことを指摘した。
米有力自動車専門誌「オートモーティブニュース」(電子版)も8月11日にこの件を取り上げた。同誌発行人のピーター・ブラウン氏は記事中、「ETCSがスピードの制御を不能にする原因となった証拠はカケラもなかった。しかし、ETCSのせいではないと証明するのは実に難しい」と投げかけた。そのうえで「少なくとも(現段階での)判断は差し控えよう」と、NHTSAの報告でETCSが「100パーセントシロ」になったとの見方はしていないようだった。
米国トヨタはNHTSAの報告について、米国時間8月11日にウェブサイト上で声明を発表。4000回を超える車両の検証を行ったが、ETCSが原因による急加速は発生しなかったと改めて強調した。一方で、「お客様のご意見にいっそう真摯に耳を傾け、急加速の原因調査を継続します」と結んだ。
NHTSAの調査が完了するまでにあと数か月の見込み。それまでは、まだ予断を許さない状況が続きそうだ。