価格競争ではなく、付加価値ある商品を
こうした「変わり種」トイレットペーパーが近年続々と登場している。よく知られているのが『リング』『らせん』などで知られる作家・鈴木光司さんの小説がプリントされた『鈴木光司のトイレで読む体感ホラー ドロップ』だろう。09年春に発売され、新聞やテレビなどでも紹介された。
同製品を開発した林製紙(静岡県)では、こうした「変わり種」商品を06年頃から取り扱っている。同社役員によると、トイレットペーパーにイラストや文字を印刷するという技術自体は20年ほど前からあった。当初は花柄などに使われるだけだったが、デフレの影響でトイレットペーパーの価格が下がり続ける中、「価格競争で勝負しても利益になりにくい。付加価値のある商品を作らなければ」と判断したという。
「変わり種」商品は1ロール約120円と割高。しかし、従来のトイレットペーパーとしての枠組みを超え、雑貨品として東急ハンズやヴィレッジヴァンガード、ロフトなどでも販売されるなど、新たな販路を拡大している。
同社ではこれまでに、手の洗い方などインフルエンザ対策が印刷された『インフルエンザ対策ロール』や、東大の折り紙サークル監修による、折り紙の手順が印刷された商品などを発売してきた。現在、鈴木さんの『ドロップ』シリーズのほか、パズルの描かれた商品などが売れているという。同社役員は、
「会社敷地内にアンテナショップがあるのですが、この時期ですと、お中元用の企画商品詰め合わせも売れています。お中元としては安価ですし、貰った方にとっても生活必需品なので喜ばれているようです」
と話している。