高橋洋一の民主党ウォッチ
円高に「のんき」な民主党 「無策」日銀の代弁者か

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代表選睨み政策出し惜しみ?

   福井俊彦日銀総裁(当時)は、デフレ脱却を小泉政権に約束して総裁になった人だったので、総裁就任当初は多少ともやる気はあっただろう。しかし、小泉政権が末期になり、竹中さんが経済財政担当相から離れると、デフレにもかかわらず量的緩和解除で金融引き締めに前のめりになった。06年3月当時の消費者物価は数値はプラスであったが、これは統計上の上方バイアスというものであり、その年の夏には改訂されるので、実質的にマイナスであると日銀に伝えた。それに関わらず、量的緩和解除をして、その後は一時のエネルギー要因を計算から除いてマイナスのままだった。完全な失敗だった。ここ10年間の日銀の金融政策は、デフレから脱却しかかる(物価がプラスになりそうになる)と、必ず金融引き締めを行い物価をマイナスに押し戻しているので、デフレターゲットをとっていると見なされても仕方ない。

   今回もまったく日銀は無策だった。物価上昇率の予想値を表す市場のブレーク・イーブン・インフレ率では、日本はマイナス1%程度でも日銀は動かず、米国はプラス2%を割り込むとFRB(連邦準備理事会)が金融緩和に動き出す。10年8月10日は、日米で金融政策の発表が行われたが、日銀は何もせず、FRBは事実上の金融緩和だった。これで、日米の金利差は縮小するので、円高になるのは当然である。しかも、日銀は、9月の民主党代表選を睨んで、政策の出し惜しみをしたようだ。これは本来あってはならないことだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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