電子書籍に最大手ドコモ参入 課金をどう握るかがポイント

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   NTTドコモは2010年8月4日、大日本印刷と提携し、10月末にも電子書籍事業に参入すると発表した。アップルの新型携帯端末「iPad(アイパッド)」が5月に国内で発売されたのを機に「勃興」する電子書籍をめぐっては、これまでにKDDIが凸版印刷やソニー、朝日新聞社の4社連合での年内参入を発表しているほか、ソフトバンクはiPadを中心に事業展開しており、携帯電話通信の大手3社が出そろった。

   今後、米アマゾンなどの海外勢を含め、成長市場をめぐる主導権争いが活発になりそうだが、国内ケータイ最大手ドコモが市場のカギを握ると見られ、動向が注目されている。

電子書籍を読める新端末は「オープン」

   発表会見でドコモの辻村清行副社長は「新しい読書文化を提供し、電子書籍でも1位をとりたい」と表明した。国内の電子書籍はコミックを中心に8割が携帯電話に配信されており、もともとドコモとも親和性が高い。また、電子書籍はネットから端末にデータをダウンロードするため、音声通信料の落ち込みをデータ通信でカバーしたいという思惑にもかなう。辻村氏は「電子書籍はいずれ動画なども盛り込まれるようになり、データ通信料を増やすコンテンツになる」との見方を示した。

   ドコモは国内首位の約5600万人の顧客基盤を拠りどころに、電子書籍事業を新たな収入源に育てたい考え。ドコモが他2社と違うのは、特定の端末メーカーと組まなかった点で、KDDIが専用端末「リーダー」を持つソニー、ソフトバンクがiPadの米アップルとそれぞれ組んでいるのとは対照的。

   水面下では年内に電子書籍を読める新端末を発売するシャープがドコモに接近したようだが、ドコモは端末を特定せず「オープン」にする道を選んだ。発表会見では「幅広い企業に門戸を開くことで多くの顧客獲得につなげる」と強調したが、業界では「電電公社の長男次男」とされ、電子書籍端末を開発中のNECと富士通に配慮した、との見方もある。

「通信料を書籍代に含めることも検討している」

   ただ、「オープン」にはこだわりがあるようで、ドコモ・大日本が共同で立ち上げる電子書籍「書店」が配信に使う通信網は、ドコモに限らずKDDIやソフトバンクも利用可能とする。データを電子化するのに必要な規格についても「シャープ」「ソニー」などと特定せず、「複数の規格を使えるようにする」としている。

   一方で譲りたくないのは、電子書籍のダウンロードに対する課金ビジネスのようだ。米国でアマゾンが、専用電子書籍端末「リーダー」にダウンロードする通信料金とコンテンツ代をセットにして課金する手法を確立し、支持を得ている。このことへのドコモの危機感の裏返しでもあろう。辻村副社長は「通信料を書籍代に含めることも検討している」とアマゾンを意識したと見られる発言もしており、課金を日本勢がどう握るかが、国内の電子書籍ビジネスの覇権争いにおけるポイントになりそうだ。

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