「企業の5割までが一括採用賛成」の調査も
一方、大学生の就職難については、新卒一括採用より外に理由を求める意見もある。
経済学者の池田信夫さんは、自らのブログ(http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51465063.html)で、大学が増えすぎて、学生の質が落ちたことが原因だとの見方を示した。少子化による定員割れを防ごうと、AO入試や推薦入学で半分ほども学生を入れてしまったツケが来たというのだ。
池田さんは、大学増設を進めた教育行政が悪いと指摘。言論サイト「アゴラ」(http://news.livedoor.com/article/detail/4933075/)では、会社内で様々な技能や忠誠心を養えるとして、「新卒一括採用は合理的である」との見方も紹介した。
ブログでの主張については、若者らから、大卒を減らしても高卒が就職に困るだけという異論も寄せられている。しかし、池田さんはコメント欄で、専門学校で人手不足の介護などを学べば就職に困ることはない、と反論している。
大妻女子大准教授の齊藤豊さんも、アゴラで、企業のアイデンティティが維持できるなどと新卒一括採用に好意的な見方を示した。1990年代半ばまであった就職協定を復活させることも一案だとしている。また、派遣プログラマーというブロガーは、「nonomachon2ndの日記」で、一括採用がなくなれば経験者と同じ土俵に乗せられるとして、「一番困るのは当の若者だ」と主張した。
実際の企業は、一括採用についてどう考えているのか。
コンサルティング会社「レジェンダ・コーポレーション」の調べによると、一括採用について、人事担当者の5割までが賛成と答えた。反対は、せいぜい1割強だった。賛成の理由については、「自社の企業文化を一括で育成できる」「効率的」などの回答が多かった。企業の意識としては、一括採用そのものを変えるところまでいっていないのが現状のようだ。