牛丼「すき家」強盗事件なぜ多発? ライバル店に比べ異常な発生件数

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   ゼンショーが展開する牛丼チェーン「すき家」で強盗事件が多発している。「すき家」で起こった強盗事件は今年、報道されたものだけで30件近くにのぼる。他の牛丼チェーンでは殆ど強盗事件が起こっていないのに、なぜ「すき家」だけが狙われるのか。

   千葉県館山市の「すき家館山店」に強盗が入ったのは2010年8月9日午前4時35分ごろ。紺色のポリ袋をかぶった一人の男が包丁を手に金を出せと店員を脅した。そのとき一人だけだった店員は調理場に逃げたものの、追いつかれ左腹1カ所を刺された。金は奪われなかったが店員は重傷を負った。

深夜から明け方、人通り少ない立地

   このところ、新聞記事で「すき家」の強盗事件が頻繁に目に付くようになった。朝日新聞を検索したところ、今年だけで該当する記事が41件あり、うち、今年起こった強盗事件を数えると、1店舗で2度起こったものを含め28件見つかった。場所は神奈川県、埼玉県、山梨県などの関東中心だが、愛知県、大阪府、鹿児島県などでも起こっている。

   朝日新聞神奈川県版と山梨県版によると、09年12月から今年3月にかけ14店の「すき家」で強盗があり、6月15日までに18歳の無職の少年を強盗容疑で逮捕した、と報じられている。この少年には仲間がいて、グループによる犯行として警察は捜査しているという。犯人はこうした10代、20代のほか、40代の中年男性、外国人風と様々だ。

   強盗の手口としては店員に刃物をちらつかせ、売上金を要求するケースが目立つ。犯行は深夜から明け方にかけて行われ、人通りが少ない立地で店員が1人という店舗が狙われているようだ。これまで奪われた金額は3万円から30万円。中には160万円、200万円という高額なものもあった。

「松屋」は券売機で売上げを管理

   大手牛丼チェーンは24時間営業のところが多く、人通りの少ない時間帯に店員が少ない店を狙って行われたと考えられるのだが、被害は「すき家」だけに集中しているようなのだ。「松屋」を展開する松屋フーズに問い合わせてみたところ、同社広報は、

「この5年、10年、強盗事件が起きたという記憶はありません」

という。神戸らんぷ亭も同じで強盗事件が起きたと聞いたことがない、という。「吉野家」を展開する吉野家ホールディングスの広報は、

「年間にだいたい数件程度はあります」

ということだった。

   松屋フーズにどうして強盗事件が起きないのかと聞いてみると、食事を注文する場合は事前に券売機でチケットを買うシステムになっていて、売上金は券売機で管理している。仮に強盗が来ても券売機の鍵を開けるのは難しいためターゲットにされにくい。また、店舗は人通りの多い繁華街や駅前中心に展開しているため、人目が多くそれも防犯になっている、と説明する。

   とすれば、「すき家」は、飲食代を直接レジで精算する店舗が多く、また人通りの少ない郊外やロードサイド店舗が多いために狙われやすい、とも考えられる。ただし、「吉野家」も「すき家」と似たような展開をしているのを見ると、「すき家」の強盗発生数は異常な数字だ。

   ゼンショーに対し、これまでどれくらいの強盗事件が起こったのか、なぜ狙われるのか、今後の強盗対策について問い合わせているが、返事はまだ返って来ていない。

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