かつて「片付けられない女」が話題になったが、最近は「片付け」がブームのようだ。モノを捨て、モノへの執着心をなくす「断捨離(だんしゃり)」という言葉も生まれ、関連本が売れている。身の回りを片付けると、身も心もすっきりするという効果があるらしい。
「断捨離」という言葉を使い始めたのは、クラター・コンサルタント(クラターは英語でガラクタの意味)のやましたひでこさん。やましたさんは30歳代半ばで高野山の宿坊(お寺にある宿泊施設)に泊まり「断捨離」修行に励んだ。40歳代からこれまでの経験を生かして「断捨離セミナー」を主宰している。
ヨガから生まれた言葉、テレビで紹介され
やましたさんの著書『新・片づけ術「断捨離」』(マガジンハウス、09年12月17日発行)は初版発行部数が8000部と、控えめなスタートを切ったが、年明けにテレビで紹介されて話題になり、10年8月10日時点で18刷12万部だ。
この本によると、「断捨離」はヨガの教え「断行・捨行・離行」をもとに生まれた言葉で、「断」は「入ってくる要らないモノを断つ」、「捨」は「家にはびこるガラクタを捨てる」、「離」は「モノへの執着から離れ、ゆとりある『自在』の空間にいる」という意味を持つ。
投稿サイト「発言小町」には、「断捨離ってみました」と2010年4月5日に書き込まれている。投稿者hanakoさんはこの日、「断捨離」の「断」の教えにならい、溜まっては捨てていたダイレクトメールの配送元に電話し、配送を止めてもらったという。
「ただだからといってなんでももらわない」というtomotiさん。街頭で配られるティッシュや景品などを一切受け取らないほか、1週間のうち使わなかった食器はボックスに片付け、服は2年間着なかったら処分するといったルールを設けている。「部屋がすっきりすると、気持ちもすっきりします」という。
断捨離を実行したら、「居住空間が広がり、スッキリとした住まいに大満足」、「部屋の物を一気に減らしたら、掃除が楽!」といった書き込みもある。モノに限らず、不要なメールは削除し、読んでいないメルマガは登録を解除する、お気に入りサイトも溜め込まないという人も。個人のブログでも、断捨離体験を告白する人が相次いでいる。