所得税課税を聞き、店長は困惑
拾得物として届け出た100万円は、3か月後に男性客が取りに現れなければ、店のものになる。
ところが、男性客やラーメン店の粋な計らいも、必ずしも報われることがないようなのだ。
国税庁の報道係によると、100万円は拾得物か贈与になりうるが、店が警察に届け出たので、この場合は、拾得物になる。法人として届け出た場合は、100万円は雑所得として所得レベルによって22%か30%が課税される。また、個人として届け出た場合は、一時所得として同様に5~40%が課税される。いずれにせよ、100万円は所得として、税金がかかってしまうということだ。
このことを店長にぶつけると、こう明かした。
「そうなんですか。警察官から説明がなかったので、まったく考えていませんでした。ちょっと困りましたね」
この騒ぎで店は有名になったが、必ずしも売り上げに結びついていないという。
「子どもたちは、ラーメン1杯で帰ってしまうので、売り上げそのものは下がりました。この間、ビールなどを注文してくれる普段のお客さまは、入って来なかったですからね。無料サービス後も、元に戻っただけで、有名になるのと、もうかるのは別問題です」
3か月後に入ってくる100万円も税金を取られれば、店には損失になるかもしれない。子どもたちの夢実現には、いくぶん代償も支払わねばならなかったようだ。