パナソニック、三洋と電工完全子会社化 韓国企業躍進で「配慮」を放棄

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海外売上比率5割以下の現状に焦る

   ただ、組織の融和を優先する日本的手法は、世界市場で生き残るためのスピード感に欠ける。大坪社長は2010年春、インドを訪問した際、サムスン、LGという韓国勢が家電市場の過半を押さえ、ソニーが何とか食らいつこうとする一方、パナソニックがシェア拡大に苦しむ実態を目の当たりにし、焦りの色を濃くしたようだ。韓国勢は今や米国など先進国でも圧倒的なブランド力を誇り、アフリカ、南米などでも強い。海外売上比率が5割に届かないパナソニックが世界で生き残るために与えられた時間は少ない。

   それなのに、例えばエコカー向けなどの蓄電池として成長が見込めるリチウムイオン電池は、パナソニック、三洋のライバル意識が抜けずに今も競合し、共同開発計画も公表できていない。09年度の世界シェアは両社合計では35%とトップではあるものの、抜本策を打たなければ子会社化した意味がなくなってしまう状況だった。

   三洋、電工側もリーマンショック後のサムスンの急回復ぶりを見るにつけ、「無血開城やむなし」と判断したようだ。

   パナソニック本社近くの「松下幸之助歴史館」では、展示ゾーン入ってすぐの場所にパナソニックの創業メンバーの写真が大きく掲げられ、真ん中に幸之助氏の義弟で三洋創業者、井植歳男氏の姿がある。旧松下電器産業の一部部門をルーツとするパナソニック電工を含め、日本の高度成長期には「近親企業」が競い合うことも有効だったが、人口減少期を迎えた今、原点に帰って出直す、ということだろうか。

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