従来の殺虫剤が効かない「スーパーゴキブリ」が出現した。世代交代を重ねるうちに薬剤に対する耐性を身につけたらしい。毒エサタイプも効かないことがあるという。
2010年春、ライオンがくん煙タイプの殺虫剤、「バルサン」の新商品を発売した。
耐性を獲得しやすいのはチャバネゴキブリ
「バルサン プロEX」という商品で、「バルサン史上最強の効き目」が謳い文句。ライオン広報室によると、この30年ほど殺虫剤の効かない「薬剤抵抗性ゴキブリ」が都市部を中心に増加傾向にあるという。このバルサンプロEXは、薬剤抵抗性ゴキブリを想定して開発され、新成分を使用している。売れ行きも好調だ。
ネット上には、ゴキブリに殺虫剤が効かないという「証言」がたくさん挙がっている。ミクシィの「ゴキブリ撲滅!」コミュニティにも、「ゴキブリ出た。2か月前にくん煙剤焚いたのに…」「殺虫スプレー使ったけど効かない様子」といった書き込みが見られる。
横浜市衛生研究所によると、日本国内で普段よく見かけるゴキブリには、3センチ程度のクロゴキブリと1.5センチ程度のチャバネゴキブリがおり、薬剤耐性をもちやすいのはチャバネゴキブリ。同じ薬剤を使われているうちに、その薬剤に強い個体が生き残る。そうした個体同士が子孫を残すと、次第に薬に強くなっていく、という仕組みだ。
チャバネゴキブリは生後2か月ほどで親になり、1年に3~4世代交代する。2~3か月程度の寿命の中で、メスは約50個卵の入った卵醤(らんしょう)を4~5回生む。