首都圏「郊外」の住宅地価上昇 「一戸建て」購入ニーズ高まる

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   首都圏郊外の住宅地価が上昇しはじめた。不動産調査会社の東京カンテイの調べによると、2010年住宅地価が上昇したエリアは、意外にも都心部よりも郊外だった。背景に、一戸建て住宅の購入ニーズの高まりがある。

   坪単価が100万円以上の土地の上昇率ランキングの上位には、東京メトロ・東西線の「妙典駅」(千葉県市川市)やJR京浜東北線の「川崎駅」(神奈川県川崎市)、西武新宿線「西武柳沢駅」(東京都西東京市)などが並んでいて、必ずしも都心部が上昇しているというわけではないようだ。

千葉県「上本郷」で60%超の上昇

都心近郊の一戸建て住宅が「アッパーミドル」に売れている
都心近郊の一戸建て住宅が「アッパーミドル」に売れている

   東京メトロ・東西線「妙典駅」周辺の2010年の住宅地価は坪単価140万9000円で、2009年と比べて38.4%も上昇した。東京・大手町まで30分弱。交通の便もよく、買い物にも便利なエリアだ。

   また、西武新宿線「西武柳沢駅」周辺の坪単価は116万円で、同35.1%上昇した。新宿まで約20分。駅前には小さな商店街があって、駅北側は閑静な住宅街で一戸建て住宅が目立ち、南側には大型マンションが建ち並ぶ。

   坪単価100万円以上の物件の人気エリアは、東京西部エリアや、世田谷区や目黒区、大田区から横浜市中心部にかけてで、都心へのアクセスのいい千葉県内だ。

   一方、坪単価が100万円未満(50万円以上)の住宅地価は、新京成線「上本郷駅」(千葉県松戸市)の地価が63万9000円で、09年と比べて61.9%と最も大きく上昇した。次いで東武東上線「川越駅」(埼玉県川越市)が50.8%上昇して55万3000円となった。

   西武新宿線の「新所沢駅」(上昇率48.7%、埼玉県)、JR武蔵野線の「船橋法典駅」(同46.7%、千葉県)と、都心部から距離はあるものの、都心のターミナル駅に直通で行けるエリアが人気。上昇率は、坪100万円以上の高価格帯よりも大きいのが特徴だ。

年収800万円前後のアッパーミドルが後押し

   東京カンテイ市場調査部の中山登志朗・上席主任研究員は、「いま住宅を購入している人は年収800万円程度のアッパーミドルといわれる人。住宅ローン減税が500万円まで使えることや、住宅ローンも低金利で、しかも審査に問題があるような人ではないので優遇金利が使えるなどメリットが大きい。こうしたことが一戸建ての購入を後押しして、都心近郊の地価を上げている」と話す。

   キーワードは「値ごろ感」だ。2009年に価格が下落していたことや、都心に比べて手ごろな価格帯であることで買いやすくなった。坪100万円以上の物件では5000万円~6000万円、坪100万円未満では4000万円~2000万円に「照準」があたっている。

   前出の中山氏によると、「交通の便がよく、居住性がよいエリアや物件には限りがある。マンションもそうだが、一戸建て住宅もいい物件は希望者が集中して、即日完売もある」という。半面、エリアや物件によってはさっぱり売れず、明暗がはっきりする傾向にある。

   とはいえ、地価がこのまま上昇していくわけではない。「住宅は大きな買い物。ふつうは景気が回復して、給料が上がっていかないと、買おうとは決断できない。都心近郊が上昇したといっても、まだまだ予断は許さない」(中山氏)とみている。

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