不況で大学生の懐事情が厳しくなり、学生食堂に「250円丼」や「280円弁当」が出現、ほかにも大盛サービスデーやお得感を出した大きなサイズの「メガランチ」など「デフレメニュー」が目白押しだ。
全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が1万8277人の大学生に行った学生生活実態調査によると、2009年の下宿生の1か月の食費は平均2万3350円で、1977年以降でもっとも少なかった。仕送り「ゼロ」の学生は70年以降、初めて10%を越えた。
佐賀大学は1グラム1円のバイキング
こうした大学生の厳しい懐事情を踏まえ、大学生協は低価格学食を導入。北海道大学では、2010年1月から「学生応援メニュー250円丼」を始めたほか、50円のほうれんそう小鉢などの50~100円の副食を充実させた。また、定期的にセールを行い、78円おにぎりや90円ペッボトルなどの販売もしている。
北関東甲信越と首都圏の75大学生協では09年春から280円のテイクアウト弁当が売られている(10年2月現在)。全国大学生協連によると、以前は売れ筋の弁当の価格が380円だったが、最近は280円弁当が大幅に売り上げを伸ばし、学生から「デフレ弁当」という愛称で親しまれている。200円台の弁当は他の地区の生協でも売られ、学生の利用も増えているそうだ。
佐賀大学の食堂には量り売りのバイキングがあり、10年2月まで1グラム1.26円だったところ、春から1円に値下げした。また、毎週火曜日は0.63円に下げた。学生の反響は大きく、利用者が30~40%増えた。
女子学生も人目気にせず「味噌汁と白米だけ」
380円の牛丼を300円に4月に値下げしたのは、明治大学和泉キャンパスにある学食「和泉の杜」だ。キャンパス付近に安い牛丼チェーンがあり、値下げせざるを得なかったという事情があるが、学生には好評だ。
「和泉の杜」は7月から「メガランチ」を始めた。20cmのメンチカツ、オムレツとチキンカツが一緒になった「オムカツ」など、どれも大きなサイズで価格は400~450円とお得感を出した。また、3と9がつく日は、キャベツの大盛や通常60円で売っている小鉢を1品無料でサービスしている。通常50円のごはんの大盛を1週間無料にしたこともあった。
サービスメニューを増やした理由について、大澤修平店長はこう話している。
「和泉キャンパスに通っているのは1、2年生で、特に1年生は授業が忙しくアルバイトがあまりできません。不景気で仕送りが減っている上に、バイトで稼げなければ、食費を削るしかなく、最近、学食で一番売れているのが150円のカップラーメンです。女子学生も人目を気にせず、カップ麺を食べています。味噌汁と白米だけという女子学生もいます」
大澤店長は「打倒カップ麺」を目指し、9月に200円のそばをメニューに加える予定だ。