菅内閣が発足して初めての予算委員会が2010年8月2日、始まった。野党側からは、「政治とカネ」「財政再建」など、多岐にわたる質問が出たが、菅首相は防戦一方で、終始顔をしかめて答弁。特に、防衛相経験者で安全保障政策に詳しい自民党の石破茂政調会長からは、米軍普天間基地の移設問題が迷走した理由や、米軍海兵隊の抑止力に対する認識を問われ、しどろもどろになる場面も目立ち、質疑というよりも「講義」の様相すら呈していた。この様子は、ツイッター上でも「石破教室」などと、話題になっている。
「文民統制が成立する条件とは?」
この日質疑にたった自民党議員3人のうち、谷垣禎一総裁は、「ねじれ国会」や、参院選の敗因となった消費税増税について質した。ここでも、菅首相は「党なり政府税調の議論をお願いしている」と、あいまいな答弁に終始した。
谷垣総裁よりもさらに手厳しかったのが、約1時間20分に及んだ石破氏による質疑だ。石破氏は冒頭、文民統制の重要性を説くなかで、
「総理に伺います。総理にとって、文民統制とは、どのような概念ですか。そしてまた、文民統制が有効に成立するためには、どのような条件が必要だと考えておられますか」
と、菅首相の認識を聞いた。菅首相は、
「まぁ、私の考える文民統制、基本的には、国民が、軍事についても最終的に判断する。しかし現実の社会で言えば、軍事組織に属さない政治家…が、民主的な手続きの中で、判断をする。これが文民統制だと考えております」
と、若干つっかえながら答弁したものの、直後に石破氏が「文民統制が有効に成立するための条件は何ですか」とたたみかけると、「まぁ何か口頭試問を受けているような感じもしますが…」とムッとした様子で、
「手続きとしては一般的に言えば、議会制度とか、きちんと機能していること」
などと答弁するのがやっとだった。