「プラネタリウム」ブーム再来の兆し 都内でオープン・改装ラッシュ

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   夜空を彩る星や宇宙の神秘を映し出す「プラネタリウム」が復活の兆しを見せている。投影機のデジタル化で映像の質が向上したこともあり、1990年をピークに減っていた入館者数も2000年以降、増加に転じた。都内で開業やリニューアルが相次ぎ、ブーム再来も遠いことではなさそうだ。

   東京都渋谷区は2010年11月、建設中の文化総合センター大和田の12階に「コスモプラネタリウム渋谷」をオープンする。120席、ドーム直径は17メートル。プラネタリウム投影機に加えて、全天周デジタル動画投影システムを備え、臨場感ある宇宙の映像を映し出す。

羽田に空港初のプラネタリウムが登場

世田谷区立教育センターのプラネタリウムで見られる「夏の星空」
世田谷区立教育センターのプラネタリウムで見られる「夏の星空」

   渋谷区文化振興課の佐藤賢哉課長は、

「星空を写して解説する従来のプラネタリウムだけでなく、ブラックホールや宇宙の神秘を映し出す鮮明な映像も用意し、宇宙旅行をしている感覚で楽しめます」

と話している。

   時間帯別に様々なプログラムを用意して、幅広い客層を取り込む。夜間も運営する。

   渋谷には駅前の東急文化会館に、かつて「五島プラネタリウム」があった。建物の老朽化などの理由で、01年3月にファンに惜しまれて閉館。運営していた東急電鉄は機材や資料をすべて渋谷区に寄附した。新しくオープンする「コスモプラネタリウム渋谷」では、「五島プラネタリウム」で40年間使われた投影機や資料を展示する計画がある。

   10 月に開業する羽田空港新国際線旅客ターミナルには、「空港では初めて」となるプラネタリウムが登場する。

   ドームの直径は10メートルで、4000万個の星が見られる。座席数は30~40席を予定。出発までの待ち時間で利用してもらうため、1つのプログラムは15~20分程度と短めに設定している。プラネタリウムを運営するのは午後のみ。午前と夕方以降は大画面で自然の風景や街並みの映像が見られるカフェとして運営する。

   東京国際空港ターミナルの広報担当者は、

「プラネタリウムのほかにも、昔の東京である江戸の町並みを本格的に再現した『江戸小路』やスロットカーレーシングコースを備えているので、飛行機に乗らない人にも遊びに来て欲しいです」

と言っている。

投影機のデジタル化で質が向上

   建設中の新テレビ塔「東京スカイツリー」に隣接する複合型施設内に、「コニカミノルタTOKYOプラネタリウム(仮称)」が2012年春に開業する。ドームの直径は18メートル、座席数は約220席の大型施設だ。

   リニューアルも相次いでいる。世田谷区立教育センターはプラネタリウムを5月に改装オープンした。光学式プラネタリウムを導入し、見られる星の数が以前の8500個から1億4000万個に増えた。世田谷区教育委員会によると、7月(28日現在)の土日の入場者数は、09年の1.5倍の4287人だった。投影回数を増やしたことが功を奏した。

   品川区立五反田文化センターのプラネタリウムは、10月にリニューアルオープンする。ドームの直径は6.5メートルから12メートルになり、9500個の星が見られる。投影機はハイブリッド式にし、よりクリアに映し出せるようになる。座席は48席から86席に増やす。

   ところで最近、プラネタリウムの開業やリニューアルが多いのは、なぜなのか。

   背景には、入館者の増加があるようだ。日本プラネタリウム協議会によると、1990年をピークに減少していたプラネタリウムの入館者数が、2000年以降は増え、09年は500万人と推計されている。

   広報担当の鳫宏道さんは、入館者増加の理由は2つあるという。1つ目は投影機がデジタル化して、コンテンツの質が上がったこと。従来のプラネタリウムでは、星以外の映像を映す場合にスライドを使っていて、1つのコンテンツを作るのに労力や時間がかかっていた。コストを回収するために長期間、同じコンテンツを上映せざるを得ず、その結果、お客が減って「じり貧状態」に陥った。デジタル機器が普及して魅力的なコンテンツが作られるようになり、徐々にお客が戻ったという。

   もう1つは、アマチュアのエンジニアだった大平貴之さんが、150万個の星を投影できるプラネタリウム「メガスター」を1998年に開発して、話題になったこと。当時の技術では、およそ6000~3万個が限度とされていた。「メガスター」の改良版が投影星数の多さで2004年にギネスブックに認定され、08年6月に発表されたシリーズ最高機種は、2200万個に拡大した。

   鳫さんは、プラネタリウムの可能性について、

「コンテンツ次第で、これまで天体に興味がない人も訪れるようになるでしょう。最近では宮沢賢治作の『銀河鉄道の夜』を題材にしたプラネタリウムや、小惑星探査機『はやぶさ』の探検の様子を描いたものが評判になり、新たな客層の開発につながりました。プラネタリウムには、映画では味わえない迫力があります」

と話している。

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