投影機のデジタル化で質が向上
建設中の新テレビ塔「東京スカイツリー」に隣接する複合型施設内に、「コニカミノルタTOKYOプラネタリウム(仮称)」が2012年春に開業する。ドームの直径は18メートル、座席数は約220席の大型施設だ。
リニューアルも相次いでいる。世田谷区立教育センターはプラネタリウムを5月に改装オープンした。光学式プラネタリウムを導入し、見られる星の数が以前の8500個から1億4000万個に増えた。世田谷区教育委員会によると、7月(28日現在)の土日の入場者数は、09年の1.5倍の4287人だった。投影回数を増やしたことが功を奏した。
品川区立五反田文化センターのプラネタリウムは、10月にリニューアルオープンする。ドームの直径は6.5メートルから12メートルになり、9500個の星が見られる。投影機はハイブリッド式にし、よりクリアに映し出せるようになる。座席は48席から86席に増やす。
ところで最近、プラネタリウムの開業やリニューアルが多いのは、なぜなのか。
背景には、入館者の増加があるようだ。日本プラネタリウム協議会によると、1990年をピークに減少していたプラネタリウムの入館者数が、2000年以降は増え、09年は500万人と推計されている。
広報担当の鳫宏道さんは、入館者増加の理由は2つあるという。1つ目は投影機がデジタル化して、コンテンツの質が上がったこと。従来のプラネタリウムでは、星以外の映像を映す場合にスライドを使っていて、1つのコンテンツを作るのに労力や時間がかかっていた。コストを回収するために長期間、同じコンテンツを上映せざるを得ず、その結果、お客が減って「じり貧状態」に陥った。デジタル機器が普及して魅力的なコンテンツが作られるようになり、徐々にお客が戻ったという。
もう1つは、アマチュアのエンジニアだった大平貴之さんが、150万個の星を投影できるプラネタリウム「メガスター」を1998年に開発して、話題になったこと。当時の技術では、およそ6000~3万個が限度とされていた。「メガスター」の改良版が投影星数の多さで2004年にギネスブックに認定され、08年6月に発表されたシリーズ最高機種は、2200万個に拡大した。
鳫さんは、プラネタリウムの可能性について、
「コンテンツ次第で、これまで天体に興味がない人も訪れるようになるでしょう。最近では宮沢賢治作の『銀河鉄道の夜』を題材にしたプラネタリウムや、小惑星探査機『はやぶさ』の探検の様子を描いたものが評判になり、新たな客層の開発につながりました。プラネタリウムには、映画では味わえない迫力があります」
と話している。