住宅ローン金利「ゼロ%」出現 「出血」覚悟の値下げ競争

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   銀行の住宅ローン獲得競争が熾烈になっている。東京スター銀行の「スターゼロ住宅ローン」は先着500人限定だが、適用金利はなんと「ゼロ%」を謳っていた。また、インターネット専業の住信SBIネット銀行は、変動金利型で年0.975%と1%を切っている。保証料なし、契約者の8疾病保障にかかる保険料も銀行負担だ。

   住宅ローン金利の引き下げは長期金利の低下が背景だが、銀行にとっては個人顧客を囲い込むキッカケ商品だけに「出血」覚悟の値下げ競争を繰り広げている。

預金残高とローン残高を相殺

申し込み殺到ですでに締め切った「スターゼロ住宅ローン」(写真は、東京スター銀行のホームページから)
申し込み殺到ですでに締め切った「スターゼロ住宅ローン」(写真は、東京スター銀行のホームページから)

   東京スター銀行の「スターゼロ住宅ローン」は先着500人、2010年6月21日から7月30日までの期間限定だったが、7月7日、最終日を待たずに締め切った。

   融資金額に対して、事務手数料として5.25%が必要だが、保証料もかからず、適用金利は「ゼロ%」。利用者の負担は、がんや高度医療を含む団体信用保険、入院保障などの保険料、繰上げ返済などにかかる諸費用をパッケージにした「メンテナスパック」の手数料で、住宅ローン残高に対して年0.504%が必要になる。

   東京スター銀行は、「繰上げ返済やローンの借り換えを検討していて、いくらか用意していた方が、事務手数料分に充てて契約されたようです。ただ、当行としては500人の限定だから提供できるのであって、定型化するほど大きな利益にはなりません」と話している。

   一方、同行の看板商品でもある預金連動型住宅ローンの「スターワン住宅ローン」は、預金残高とローン残高とを相殺し、それによって実質的に金利を下げることができる商品。「ゼロ%」の人がどのくらいいるのかは明らかにしていないが、「住宅ローンを組んだ直後は無理でも、コツコツと貯金していくことで預金残高を増やし、一方で返済が進めばローン残高を減らせるので、長い目でみて支払利息を軽減することができます。実際に『ゼロ』の方もおります」という。最近の3年間で融資残高を25%伸ばし、6月30日時点では5417億円となった。

たばこ代を返済に充てて繰り上げ返済

   変動金利型で年1%を切る水準で住宅ローンを提供するのは、住信SBIネット銀行。同行の住宅ローンは2010年7月20日に、貸出実績が累計で5000億円を突破した。利用者も2万人を超えている。02年9月に開業してから、ネット銀行としては最速の1031日での到達だ。

   同行の住宅ローンは、金利の安い変動金利型と、返済額が変わらない安心感のある固定金利型とを併用できる「ミックスローン」が選べるのが特徴。さらには、1円から繰上げ返済できるのも、ネット銀行ならでは。普通預金口座から、「繰上げ返済」をクリックして、パスワードや金額などを入力するだけで返済できるので、預金連動型と同じような、実質的に支払利息を少なくする効果が見込める。もちろん、繰り上げ返済手数料は無料。「たとえば毎日のたばこ代を返済に充てて、返していくことも可能です」と、広報担当者は胸を張る。

   住宅ローン金利は、メガバンクなどでも変動金利型で年1.0%に近い水準に下がってきた。長期金利の低下に加えて、獲得競争の激化による「複合的」な要因があるとみられる。

   ただ、利幅が薄くなっても、「顧客基盤の拡大につながるメリットは小さくない」(メガバンクの関係者)と話している。

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